(※写真はイメージです/PIXTA)

多くの投資家が熱視線を注いできたドバイですが、2026年2月末、近隣国であるイランをアメリカとイスラエルが攻撃。想定外の事態に、世界各国はもちろん、投資家や富裕層を中心とする各国からの移住者も慌てふためきました。約半年の時間が経過した現在、ドバイの状況、特に不動産市場はどうなっているのでしょうか。世界をフィールドに活躍する弁護士・森和孝氏が、ドバイの最新事情を解説します。

「ドバイなら何を買っても上がる」時代ではない

ここまでの数字だけを見ると、ドバイ不動産は非常に強い市場に見えるかもしれません。しかし、投資家が最も注意すべきなのは、市場全体の安定と、個別物件の安全は同じではないという点です。

 

過去12か月では、供給を増やしにくいパーム・ジュメイラの戸建て価格が37%上昇した一方、引渡しが集中するドバイ・フェスティバル・シティは10%下落しました。同じドバイでも、結果には大きな差があります。

 

 出典:Property Monitor Dubai Sales Index。『エミネンス・レポート2026上半期』※より。
[図表4]直近12か月の上昇エリアと下落エリア(同一スケール) 出典:Property Monitor Dubai Sales Index。『エミネンス・レポート2026上半期』より。

 

この差を生むのは、供給の希少性、周辺の賃貸需要、今後の引渡し戸数、そして購入価格です。上半期の住宅平均グロス利回りは6.58%と、依然として高い水準でしたが、利回りもエリアや物件タイプによって異なります。表面上の平均値だけで判断してはいけません。

 

出典:Property Monitor Dubai Rental Yields(2026年6月)。『エミネンス・レポート2026上半期』※より。
[図表5]エリア別グロス利回り―8~9%台は庶民価格帯に集中 出典:Property Monitor Dubai Rental Yields(2026年6月)。『エミネンス・レポート2026上半期』より。

 

ドバイという都市を選んだだけで、投資が完了するわけではありません。これからは、エリア、物件、購入条件をどこまで選別できるかが、結果を左右します。

今回のデータから投資家が学ぶべきこと

2026年上半期の売買総額は12.6兆円、8万5,998件でした。史上最高だった前年に次ぐ規模です。戦争を挟みながらも、市場は止まらず、価格指数も全面崩壊を免れました。ドバイ不動産市場が、以前よりも成熟し、外部ショックへの耐性を高めていることは確かでしょう。

 

しかし、今回の結果を「戦争が起きても大丈夫だった」と単純化するのは危険です。戦線の拡大、ホルムズ海峡の長期的な機能不全、金融・決済インフラへの影響が起きれば、前提は変わります。航空や観光、短期賃貸は、売買市場より早く影響を受ける可能性もあります。

 

投資家に必要なのは、ニュースに反応して慌てて売買することではありません。売却を急がなくてもよい資金で投資すること。保有を続けられる期間を考えておくこと。そして、どの条件が崩れたら判断を見直すのかを、事前に決めておくことです。

 

今回のデータが示したのは、「ドバイは無傷だった」ということではありません。厳しい環境でも市場機能を維持し、限定的な調整で耐えたという事実です。そして市場が耐えた後には、物件ごとの差が、これまで以上にはっきりと表れます。今後問われるのは「ドバイで何を選ぶか」だといえるでしょう。

 

※ 『エミネンス・レポート2026上半期』(https://eminenceluxe.com/eminence-report

 

 

森 和孝
Eminence Luxe(ドバイ不動産仲介会社)Founder/CEO
One Asia Lawyers 国際弁護士(UAE法、シンガポール外国法、日本法)

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