選手個人では税務上どう扱われるのか
選手個人の税務については、その選手がクラブの従業員なのか、それとも個人事業主として活動しているのかによって取扱いが異なります。
米国ではクラブの従業員である場合、会社から補填されなかった業務関連費用については、2017年までは所得の2%を超える部分について所得控除が認められていました。
しかし、第1次トランプ政権で成立したTax Cuts and Jobs Act(TCJA)により、この控除は2018年から2025年まで停止されました。そして、その後成立したOne Big Beautiful Bill Act(OBBBA)によって、この措置は恒久化されています。
一方、個人事業主として活動している選手であれば、ビジネス上通常必要な支出である限り、今回のような制裁金も必要経費として処理できる可能性があります。
また、所属クラブやサッカー連盟が罰金を負担するケースも考えられます。この場合、クラブや連盟にとっては事業上の経費として処理できる可能性がありますが、本来選手本人が負担すべき罰金を肩代わりしたのであれば、その肩代わり分は選手への報酬として課税対象となる可能性があります。
さらに、クラブでの試合なのか、それともナショナルチームでの試合なのかによっても判断が異なる可能性があり、最終的には個々の事実関係に基づいて判断されることになります。
米国はワールドカップ賞金を男女で折半
今回のワールドカップでは、ベスト16が各1,500万ドル、ベスト8が各1,900万ドル、4位が2,700万ドル、3位が2,900万ドル、準優勝が3,300万ドル、優勝国には5,000万ドルの賞金が用意されています。
米国サッカー連盟では、男子ワールドカップと2027年女子ワールドカップの賞金を一つにまとめ、その20%を連盟が受け取り、残り80%を男子代表と女子代表で折半するという労働協約を締結しています。
仮に男子代表だけでベスト16入りした場合、男子代表26人で分配すると、一人当たり約23万ドル、日本円で約3,800万円を受け取る計算になります。
男女で賞金を折半する制度は前回大会から導入されました。観客動員やスポンサー収入には依然として大きな差がありますが、米国女子代表はワールドカップで何度も優勝するなど高い実績と人気を誇っており、こうした背景が画期的な労働協約につながったといわれています。
ワールドカップが映し出す日米の経済格差
日本代表は早い段階で敗退しましたが、もし勝ち進んでいたならば、選手への賞金だけでなく、日本人サポーターによる現地観戦も大きな話題になっていたでしょう。
決勝トーナメントではチケット価格が1万ドル(約160万円)を超えるケースもあります。さらに渡航費や宿泊費を加えれば、現地で試合を観戦するにはかなりの資金が必要になります。
世界最高峰のスポーツイベントを楽しむにも経済力が問われる時代です。ワールドカップは、ピッチ上の勝敗だけでなく、各国の経済力や生活水準の違いまで映し出す大会なのかもしれません。
奥村 眞吾
税理士法人奥村会計事務所
代表
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