「もう、おねだりには応えられない」
「ボタンを押せばお金が出てくるATMじゃないんだから。はっきり言わなければ……」
そう心に決めた佳代子さん。週末のある日、再び「おねだりアテレコ」が始まった瞬間に、佳代子さんは口を開きました。横でスマホを見る息子と、新聞を読む夫――我関せずの男性2人の腕をポンと叩いて注目させ、毅然と告げたのです。
「千紗さん、孫は本当に可愛いし、あなたも本当の娘みたいなものよ。でもね、私たちは年金月23万円の暮らしなの。将来あなたたちに介護の手間やお金の迷惑をかけないために、今の貯蓄はしっかり残しておきたい。だからもう、おねだりには応えられないからね」
ストレートな言葉にリビングは一瞬凍りつきましたが、佳代子さんは「その代わり、千紗さんが疲れたら、いつでも孫を預かるから!」と笑顔で続けました。
千紗さんは一瞬驚いたものの、「……はい! 私、ちょっと甘えすぎちゃいました」とあっさり納得。それ以来、千紗さんのおねだりはピタリと止まり、代わりに「お義母さん、これ一緒に食べようと思って!」と手土産を持ってきてくれるようになりました。
「こんな風に伝えるのは、勇気がいりましたよ。二度と来なくなったらどうしようとも。でも、ちゃんと受け止めてくれてありがたかったです。あの年齢で年金がどれくらいかなんて知らなかったでしょうし、23万円と聞いて『そんなに少ないの?』って驚いたのかもしれません。勝手にモヤモヤして不満を溜めるより、はっきり言うことが大切なんだと思いました」
