(※写真はイメージです/PIXTA)

新卒の初任給は上がっているのに、自分の給料はほとんど変わらない――。そんな理不尽さを感じている人は少なくありません。とくに就職氷河期世代は、厳しい就職環境や低い賃金水準の中でキャリアを積み重ねてきた世代です。長年会社に尽くしてきた47歳男性も、新卒の待遇を見て自身の働き方を見つめ直すことに。その先にあったものとは?

生活一変…会社への奉公を辞めて「密かに始めたこと」

そこから、坂井さんの生活はガラリと変わりました。

 

定時になったら、仕事が残っていてもパソコンをシャットダウンして帰るように。休日や深夜に、自発的に行っていた下調べや資料づくりは一切やめました。そして、その時間を“初めての転職活動”に充てるようになったのです。

 

陰ながら会社を支えていたベテランが動かなくなると、組織の綻びは一気に露呈します。これまで坂井さんの“先回り”によって円滑に回っていた案件はトラブルが頻発するようになり、部署全体の業務進行スピードは明らかに遅くなっていきました。

 

「坂井くん、どうしたの最近。早く帰るし……いや、それはいいんだけどね。まさか辞めたりしないよね?」

 

探るような上司の視線。しかし、坂井さんは表情一つ変えず、静かに返しました。

 

「いえ、特に。何もありませんよ。いつも通りやっています」

 

波風を立てず、穏やかに。そんな日々の中で、坂井さんは内定を勝ち取りました。

転職成功…強い引き留めも「何の意味が?」

転職に不利だと言われる40代後半にして、年収は1.3倍の560万円に。それも、基本給そのものが大幅にアップする条件でした。

 

基本給が上がれば、年に数回支給される賞与の掛け算のベースも上がります。退職金が減るというデメリットも、年収アップ分だけでペイできる計算でした。さらに決定打となったのは、新しい会社には70歳までの雇用延長制度が整備されていたことでした。

 

「ありがたい話です。転職活動をしたことがなく、自分の市場価値がわかっていなかったんですが、思ったよりも評価がよかった。運よく同業で採用募集をしていて、即戦力だと思ってもらえたこともラッキーでした」

 

退職の際には、強い引き留めにあったという坂井さん。「君がいなければ回らない」と、何度も言われたといいます。

 

「辞めるといった途端に評価し始める。あれ、何の意味があるんですかね。僕にはもう関係ないですが……。後輩や新卒には、そんな思いをしないでほしいなと思っています」

 

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