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野党の主張が与党を動かした?
社会保障国民会議の実務者会議では、2026年6月に中間取りまとめを公表する予定でした。しかし、消費税率を1%引き下げる案などを巡って意見が一致せず、7月に入った現在も結論は持ち越されています。
一方、共同通信社が2026年6月20日、21日に実施した全国電話世論調査では、「時間を短縮して減税を実現できるなら1%でもよい」と回答した人が43.9%となり、設問の中で最も多い結果となりました。この調査だけで国民の意思を断定することはできませんが、少なくとも消費税率の引き下げに一定の理解が広がっていることは読み取れるでしょう。
かつて自民党は、消費税減税には極めて慎重な立場でした。前政権の石破首相は、「消費税率を引き下げることは考えていない。当面、引き上げることも考えていない」と述べるとともに、野党が主張する減税についても、「社会保障の安定的な財源が確保できない」として否定的な考えを示していました。
ところが、2026年2月の総選挙では、自民党は「食料品の消費税を2年間ゼロとする方向で検討を加速する」と公約に盛り込みました。
さらに、高市首相は、食料品の消費税ゼロを2年間実施した後、給付付き税額控除へ移行する方針まで明言しています。こうした総理の発言を受け、現在の実務者会議で具体的な制度設計が議論されることになりました。
野党各党は消費税減税を公約に掲げていた
2026年総選挙における野党各党の公約を見ると、消費税減税は主要な政策として掲げられていました。
・中道改革連合:2026年秋から恒久的に食料品の消費税をゼロ
・国民民主党:消費税率を一律5%へ引き下げ
・共産党、れいわ新選組、日本保守党、社民党:5%への引き下げ、ゼロ税率、または廃止を主張
・「みらい」のみが消費税率据え置きを公約
内容や期間には違いがあるものの、多くの野党が消費税減税を訴えていたことは共通しています。
政策を動かしたのであれば、もっと評価を求めるべきではないか
実務者会議では各党の主張に隔たりがあり、調整は難航しているようです。しかし、振り返れば、自民党が消費税減税を総選挙公約に盛り込んだ背景には、野党各党が減税を前面に掲げ、有権者の支持を集めたことが少なからず影響していると考えられます。
つまり、自民党の政策転換を促したという意味では、消費税減税の実現に向けた流れをつくったのは野党側だったと言えるでしょう。政策の細部は今後の議論に委ねられるとしても、「与党の政策を変えた」という点は、野党にとって大きな政治的成果ではないでしょうか。
それにもかかわらず、「自分たちの主張が与党の公約変更につながった」という点を積極的にアピールする野党の姿勢は、あまり見受けられません。仮にこれが事実であるならば、政治的なPRとしては十分とは言えないように思われます。
共同通信の世論調査では、1%の減税であっても早期実現を望む声が最も多いという結果が示されました。国民が求めているのは、理念や政争ではなく、現実的に実現可能な政策なのかもしれません。
実務者会議ではなお調整が続いていますが、各党が歩み寄り、国民が納得できる形で結論が取りまとめられることを期待したいものです。
矢内 一好
国際課税研究所
首席研究員
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