営業成績には自信があった。それでも書類選考を通らない
浩之さん(仮名・48歳)は、とある会社で営業職として働いています。大学卒業後から営業一筋で、現在の年収は約720万円。大口顧客を複数担当し、個人目標を達成できなかった年はほとんどありませんでした。
一方、社内で管理職に就いた経験はありません。勤務先では管理職のポストが少なく、40代前半に一度、課長候補として名前が挙がったものの、別部署から異動してきた社員が昇進しました。
「売上を作っているんだから、役職がなくても評価されるはずだ」
浩之さんはそう考えていました。
転職を意識したのは、会社が営業所の統廃合を進めると発表したことがきっかけです。すぐに失職する状況ではありませんでしたが、50歳を過ぎてから慌てるより、今のうちに動いたほうがいいと考えました。
希望したのは、現在と同程度の年収を得られる営業職です。転職サイトに職務経歴を登録すると、複数の企業や紹介会社から連絡が届きました。
「これだけ経験があれば、どこかには決まるだろう」
ところが実際に応募を始めると、書類選考で落ちることが続きました。ようやく面接へ進んだ会社では、採用担当者からこう尋ねられました。
「部下の評価や育成を担当した経験はありますか」
「役職はありませんが、後輩への同行や営業の助言はしてきました」
浩之さんが答えると、さらに質問が続きました。
「チームの予算管理や人員配置、目標未達の社員に対する改善指導は経験されていますか」
どれも正式に任された経験はありませんでした。後輩に相談されることはあっても、評価権限や組織目標への責任を負っていたわけではありません。
面接後、紹介会社の担当者から連絡がありました。
「営業実績は高く評価されています。ただ、今回の年収帯だと、企業側はプレーヤーとしての実績に加えて、マネジメント経験も求めています」
浩之さんは納得できませんでした。
「管理職経験がないと、48歳では転職できないんですか」
担当者は、「転職できないわけではありません」と前置きしたうえで、希望年収を維持したまま同業他社へ移る場合、管理職候補として採用されるケースが多いと説明しました。
厚生労働省『令和6年雇用動向調査』によると、45~49歳の転職入職者では、前職より賃金が増加した人が46.4%、減少した人が23.8%でした。中高年の転職が必ず賃金低下につながるわけではありませんが、経験や職種、転職先で担う役割によって結果は異なります。
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