堅調な輸出・観光セクターと今後の展望
半導体を中心とする電子部品輸出も好調で、2026年には5%の成長を遂げ、輸出額が過去最高となる500億ドル超えを狙える情勢です。業界団体のSEIPI(フィリピン半導体・電子機器産業協会)は、AI・データセンターブームを背景とする世界的な需要増を追い風に記録更新への期待を寄せています。
観光産業も新たな成長ドライバーとして存在感を増しています。2025年には648万人の外国人観光客を受け入れた実績があり、2026年はこれを上回る670万人超を目標に掲げています。政府は誘致施策を強化していますが、中東情勢の悪化や近隣競合国との誘致競争が逆風となる懸念も残ります。
2027年にかけては、2026年の落ち込みに対するベース効果や、投資・景況感の改善、そして軍事衝突に伴う供給制約の緩和が進むことで、成長率は政府目標である5%〜6%のレンジに回帰すると見込まれています。ただし、異常気象や公共投資・構造改革の正常化の遅れが下振れリスクとして残る一方、改革加速や原油・食料価格の下落は上振れ要因となり得ます。
物価情勢は依然として予断を許しません。IMFは4月時点で2026年のインフレ率を平均4.3%、2027年を3.2%と予測しており、いずれもBSPが掲げる3%目標を上回る水準です。実際、6月のインフレ率は4.8%に達し、4カ月連続で目標を超過しています。民間調査機関のPantheon Macroeconomicsはこれをさらに上方修正し、2026年を5.2%、2027年を3%とする見通しを示しており、物価の安定化には時間を要するとの見方を強めています。
こうした状況を受け、BSPは4月から利上げに転じ、6月までに累計50ベーシスポイント(bp)の利上げを実施しました。政策金利は4.75%となっています。政府支出の回復ペースが鈍い中、成長下支えの役割は財政政策により多く期待される局面に入っています。
総じて見れば、中東情勢に端を発する原油高がフィリピン経済の回復シナリオに影を落としつつあるというのが今回のIMF改訂の骨子です。OFW送金、BPO、電子部品輸出、観光という四つの主要セクターがそれぞれ底堅さを見せる一方、インフレの高止まりと公共投資の停滞という国内要因も無視できません。構造改革の着実な推進と物価安定策をいかに両立させるか。政府と中央銀行の政策協調が、今後のフィリピン経済の行方を左右する鍵となりそうです。
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