使われていなかった仕送りと、父が隠していた事情
現金を数えると、約130万円ありました。毎月4万円、3年間で送った総額は144万円です。父は、そのほとんどを引き出して残していたことになります。
健太さんは病室で父に尋ねました。
「仕送り、使ってなかったの?」
茂さんはしばらく黙ったあと、窓の外を見ながら答えました。
「お前が働いて稼いだ金だろう。孫もこれから高校、大学と金がかかる。俺が使うわけにはいかないと思った」
「でも、食べるものまで減らしていたじゃないか」
「年を取れば、そんなに食べなくても平気だ」
そう言いましたが、実際には食費だけでなく、エアコンの使用や通院も控えていたことがわかりました。仕送りがあれば健太さんは安心する。それでも、自分のために使うことには抵抗があったのでしょう。
「親が子どもの負担になるのは嫌だったんだ」
退院後、茂さんは自宅での一人暮らしを続けることになりました。健太さんは現金を再び父名義の口座へ戻し、食費や医療費に使う資金として管理することにしました。地域包括支援センターにも相談し、配食サービスと定期的な見守りを利用することにします。
仕送りも、以前のように一方的に振り込むのではなく、必要な支出を親子で確認して負担する形に変えました。
遠慮する親と、安心したい子ども。互いを思う気持ちがあるからこそ、曖昧にせず、生活の実情を話し合う必要があるのかもしれません。
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