(※写真はイメージです/PIXTA)

住宅ローンや教育費、親族への支援などが長く続けば、収入に見合う資産が残っていないこともあります。家計管理を配偶者に任せきりにした結果、定年直前になって初めて実情を知るケースもあります。

妻が隠していたのではない…夫が「向き合ってこなかった」事実

住宅ローンは当初、60代前半で完済する予定でした。しかし、子ども2人の教育費が重なった時期に返済期間を延ばし、教育ローンも住宅ローンに借り換える形で整理していました。

 

それだけではありません。長男が就職後に体調を崩して退職し、生活を立て直すまでの約3年間、夫婦は家賃や生活費として毎月7万~10万円を援助していました。正明さんも支援には同意していましたが、総額を計算したことはありませんでした。

 

「貯金を崩しているとは聞いていた。でも、ここまで減っているとは思わなかった」

 

「何度もお金が厳しいって言ったでしょう。でもあなたは『何とかしておいて』って……」

 

恵美子さんは食費を削り、自分の衣服や美容院代も抑えていました。それでも住宅ローン、教育費、長男への援助、生命保険料、車の維持費を合わせると、家計は年間でほとんど貯蓄できない状態だったのです。

 

総務省『家計調査報告 2025年(令和7年)平均』では、二人以上の勤労者世帯の実収入は月平均65万3,901円ですが、税金や社会保険料などを差し引いた可処分所得は53万2,408円です。額面収入が高くても、そのすべてを生活や貯蓄に回せるわけではありません。

 

正明さんは、家計簿を一緒に確認しました。毎月の住宅ローンは約11万円。保険料は夫婦で約6万円あり、ほとんど乗らなくなった車にも駐車場代を含めて月5万円近くかかっていました。

 

夫婦は保険を整理し、車を売却。長男とも話し合い、生活費の援助は半年後に終了することにしました。退職金は旅行や住宅の改修に使わず、住宅ローンの一部返済と生活予備費に分けます。正明さんも再雇用を選び、65歳までは働く方針を固めました。

 

定年直前になって知った現実は重いものでした。それでも収入が減る前に、夫婦で家計を見直せたことは立て直しの第一歩です。資産、負債、毎月の収支を家族で共有することが、老後設計には欠かせないのかもしれません。

 

 

 

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