「変化に耐えられるか」という視点を持つ
あれから2年。幸作さんは65歳に。年金を月15万円ほど受給しながら週4日のアルバイト生活です。現在は家賃5万円の賃貸アパートで生活。かつての分譲マンションとは比べ物になりませんが、幸作さんは身の丈に合った暮らしに満足しています。
60歳になった和恵さんも「あのとき手放して本当によかった。毎月の返済に怯えなくていいのが、何より幸せ」と笑顔を取り戻し、パートで家計を支え、穏やかに暮らしています。
全国宅地建物取引業協会連合会の「2025住宅居住白書」によると、「持ち家派(63.0%)」は「賃貸派(20.2%)」を圧倒。持ち家を選ぶ最大の理由は「家賃を払い続けることが無駄に思えるから(51.0%)」です。
確かに、順調に完済できれば家は資産になります。しかしそれは、「老後も安定した収入があるか」「計画通りに返済できるか」という前提があってこそ成り立つもの。足りない生活費を補填しようとリボ払いを常用すれば、老後破産という結末を迎えるケースは決して珍しくありません。
例えば、10万円を借りて毎月5,000円ずつ返済する場合、一般的な年15%程度の手数料がかかると、完済まで丸2年かかります。その間に支払う手数料の総額は約1万6,000円。10万円を返すために、実際には11万6,000円以上を支払う計算になります。これを複数のカードで繰り返すことで、多くの人が「見えない蟻地獄」へとはまっていくのです。
50代以降の役職定年、定年再雇用による収入激減、そして子どもの進路変更による教育費のピーク。これらはどんな家庭にも起こりうることです。さらに、想定外のことが色々と押し寄せてくるのが人生。だからこそ、不確実な退職金や、「きっとこうなるだろう」という楽観的な考えは禁物です。
住宅を購入する際は、人生の変化をできるだけシビアに見通し、「予測せぬ変化が重なっても、余裕を持って払い続けられるか」という一歩引いた視点を持つことが欠かせません。
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