まだ何とかなる…和恵さんが頼った「蟻地獄」
和恵さんが頼ってしまったのは、クレジットカードでのキャッシングや、毎月の支払いを一定に抑えられるリボ払いでした。
「毎月の返済額を少なく設定してしまったことで、借金という感覚が麻痺していきました。来月になれば何とかなる。そう思い込もうとしていたんです」
しかし、その場しのぎの補填が続くはずもありません。気づけば複数枚のカードでの借入総額は約320万円にまで膨れ上がり、完全な自転車操業に陥っていました。
騙し騙しの生活は、ある日、金融機関からの督促状を幸作さんが偶然発見したことで、突然の終わりを迎えます。
「嘘だろ、こんなことになっていたなんて……」
驚愕した幸作さんでしたが、妻だけに悩みを抱えさせていたことを詫びました。そして、家を手放すことを決断。最大の固定費である住宅費用を今すぐ削らなければ、破産へと突き進んでしまう――そう確信したからです。
「嫌よ! この家で息子を育ててきたの。この場所が大好きなのに。ここを出たら、私たちこれからどこに行くの?」
我が家への愛着から、和恵さんは涙を流して抵抗しました。しかし、もはや選択の余地は残されていませんでした。
幸いだったのは、不動産価格上昇の波に乗れたことです。築13年だったにも関わらず、購入時とほぼ同額での売却に。これにより、残っていた住宅ローンを完済できただけでなく、和恵さんが膨らませてしまったカードの借金もすべて精算することができました。
息子の残りの学費などを考えれば、夫婦の手元に残された貯蓄はわずかなもの。それでも、夫婦は雪だるま式に膨らんでいた「借金地獄」から、間一髪で解放されたのです。

