(※写真はイメージです/PIXTA)

国税庁が公表した「令和7年度査察の概要」では、ソーシャルメディアで事業活動を行う事業者が重点調査事案の筆頭に掲げられた。美容系インフルエンサーの広告会社による架空経費計上や、海外向けイラスト販売事業者による所得隠しなど、デジタル経済を舞台にした脱税事案も紹介されている。SNSビジネスの広がりは、脱税の形だけでなく、税務調査の手法そのものも変えつつある。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

海外取引も「見えない所得」ではなくなった

もう一つ紹介されたのが、SNSを通じて海外向けにイラストを販売していたクリエイターの事例だ。

 

海外イベントでの販売を含む売上の一部を申告せず、所得税を免れたとして告発された。海外で得た収入であっても、日本の居住者には原則として全世界所得を申告する義務がある。

 

上田氏は、「海外だから把握されないという発想は危険だ」と話す。

 

「今回の事案がどのような端緒で把握されたかは公表されていませんが、国外送金等調書やCRS(共通報告基準)による情報が調査のきっかけとなった可能性は十分考えられます」

 

国外送金等調書制度では一定額以上の国外送金情報が税務当局へ報告される。また、CRSでは各国税務当局が金融口座情報を交換している。

 

「国内へ資金が還流すれば送金情報が把握される可能性がありますし、海外口座に一定額の資産があれば、CRSによる情報交換の対象となる場合があります。海外だから分からないという時代ではありません」(上田氏)

次ページ狙われているのはインフルエンサーではなく「デジタル経済」

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