(※写真はイメージです/PIXTA)

老人ホームへの入居は、老後の安心を得るための選択肢の一つです。ただし入居時に十分だと思えた資金も、夫婦二人分の月額費用や医療費、介護度の変化が重なれば、想定より早く減っていくことがあります。長期化を前提にした見通しが欠かせません。

夫婦二人分の施設費が、想定よりかかった理由

年金月28万円は、一般的には少ない金額ではありません。総務省『家計調査報告 2025年(令和7年)平均』によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、可処分所得は月約22.2万円、消費支出は月約26.4万円です。隆夫さん夫婦の年金はこの平均的な支出を上回りますが、老人ホームで夫婦二人が暮らす場合、通常の在宅生活とは支出構造が大きく異なります。

 

さらに有料老人ホームでは、入居時に見込んだ費用がそのまま固定されるとは限りません。介護度の変化、医療機関への通院、食費や管理費の改定、個別サービスの利用によって、月々の負担が増えることがあります。隆夫さん夫婦の場合も、入居当初は「年金に少し足せばよい」と考えていましたが、実際には毎月まとまった取り崩しが続きました。

 

厚生労働省『令和6年度 介護給付費等実態統計の概況』では、介護サービスの受給者や費用額の状況が示されており、介護サービスは高齢期の生活を支える重要な仕組みである一方、利用状況は要介護度やサービス種類によって変わります。介護が必要になる期間や内容を入居時点で正確に読むことは難しいのです。

 

隆夫さんは、ホームの相談員と家族を交えて話し合いました。今後の費用見込みを出してもらい、不要な有料サービスを見直し、通院付き添いの一部は子どもたちと分担することにしました。部屋の変更や、将来的に介護保険施設への住み替えが必要になる可能性についても確認しました。

 

「子どもに迷惑をかけたくない」と思っていた隆夫さんでしたが、何も相談しないまま資金が減ってからでは、かえって家族を困らせることになります。

 

老人ホームへの入居は、安心を買う選択です。しかし、安心には毎月の費用がかかり、夫婦二人分となれば負担は大きくなります。大切なのは、入居時の資金額だけで判断せず、介護度が上がった場合、医療費が増えた場合、どちらか一人が長く入居を続ける場合まで含めて試算することです。

 

 

 

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