3億円の資産を持ちながら…「自分でもわからない」
「欲しかったわけではありません。当然、お金が払えなかったわけでもありません。どうしてあんなことをしたのか、自分でも説明できないんです」
店を出た直後、 警備員に声を掛けられました。その後、警察が介入したものの、初犯であり、被害額も少額で本人も深く反省していたことから、微罪処分となり、大きな刑事処分に発展することはありませんでした。
かし、雅恵さんにとって本当の地獄はここからでした。何よりつらかったのは、近所のスーパーへ行くこと自体が怖くなってしまったことです。
「近所で噂になっているのではないか。顔を覚えられて“要注意人物”としてマークされているのではないか」
実際に何か言われたわけではありません。しかし、罪悪感が周囲の視線を必要以上に恐れさせました。
美容院にも行けず、散歩に出ることもできない。引きこもりがちになった雅恵さんは、大きな決断を下します。住み慣れた自宅を売却し、自分を知る人が誰もいない隣県の高級有料老人ホームへ移り住むことにしたのです。
それが、追い詰められた雅恵さんが出した結論でした。幸いにも、老人ホームでの暮らしは雅恵さんの肌に合ったようです。
「人の気配があって、温かくて美味しい食事が出て……それだけで救われます」

