(※写真はイメージです/PIXTA)

孫の存在は、ひとり暮らしの高齢者にとって心の支えになることがあります。とはいえ訪問や預かりが日常化すると、食費や光熱費、体力面の負担が見えにくい形で積み重なります。「かわいいから断れない」という思いが、老後の暮らしを圧迫することもあるものです。

孫を拒むのではない…暮らしを守るための話し合い

良子さんが体調を崩した日のこと。朝からめまいがあり、横になっていたところへ孫が来ました。娘からは「少しだけお願い」と連絡がありましたが、その日は立って台所に向かうのもつらい状態でした。

 

「ごめんね、今日はばぁば、あまり動けないの」

 

良子さんがそう言うと、孫は心配そうな顔をしました。その表情を見て、良子さんは胸が痛みました。孫に気を使わせたいわけではありません。しかし、無理を続ければ、自分の生活そのものが崩れてしまう。そう実感したのです。

 

その夜、良子さんは娘に電話をしました。

 

「孫はかわいいし、来てくれるのはうれしい。でも、毎日のように預かるのは、体力的にもお金の面でも少しきつくなってきたの」

 

娘は驚いたようでした。

 

「そんなに負担だった? お母さん、いつも大丈夫って言っていたから…」

 

良子さんは、それまで言えずにいた理由も話しました。孫に会えるのはうれしいこと。娘を責めたいわけではないこと。ただ、食費や光熱費が増えていること、夕方以降の世話が続くと疲れが残ること、そして自分の老後資金にも限りがあることを、初めて具体的に伝えました。

 

内閣府『令和7年版高齢社会白書』では、65歳以上人口に占める一人暮らしの割合は、令和7年時点で男性18.3%、女性25.4%と推計されています。一人暮らしの高齢者が増えるなか、家族との支え合いは大切ですが、その負担が一方に偏れば、支える側の生活も不安定になりかねません。

 

話し合いの結果、孫が良子さんの家に来るのは週2回を基本にすることにしました。娘夫婦は学童保育や地域の一時預かりも改めて調べ、急な残業のときだけ良子さんに相談する形に変えました。孫の食費として、娘が月に一定額を渡すことにもなりました。

 

こども家庭庁は、子育て家庭が身近な場所で相談し、必要な支援を受けられるよう、地域子育て支援拠点や放課後児童クラブなどの整備を進めています。家族の助けは心強いものですが、すべてを祖父母の善意に頼らず、地域の支援も組み合わせることが重要です。

 

それからも、孫は良子さんの家に来ます。ただし、以前のように突然続けて来ることは減りました。

 

「ばぁば、次は水曜日に来るね」

 

そう言われると、良子さんは素直に笑えるようになりました。予定が決まっていれば、買い物も体調管理もできます。何より、「来てくれてうれしい」と思う余裕が戻ってきたのです。

 

年金生活には限りがあり、体力も少しずつ変わっていきます。長く穏やかに関わるためには、遠慮せずに負担を言葉にし、家族で無理のない形を決めることが必要なのかもしれません。

 

 

 

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