「こんなに上がるなんて…」タワマン暮らしで膨らむ住居費
智也さん(仮名・54歳)と妻の明美さん(仮名・52歳)は、都内で暮らす共働き夫婦です。世帯年収は約1,500万円。子どもは大学生で、数年後には教育費の負担も落ち着く見込みでした。
夫婦がタワーマンションを購入したのは8年前です。駅に近く、眺望もよく、コンシェルジュやゲストルーム、ラウンジなどの共用施設も整っていました。購入価格は約7,200万円。頭金を入れ、住宅ローンは月18万円台に抑えました。
「これなら何とか払っていけるね」
当時、夫婦はそう話していました。管理費と修繕積立金を合わせても月4万円台。高いとは感じましたが、共用施設や管理体制を考えれば納得できる範囲だと思っていたのです。
ところが購入から数年たつと、負担は少しずつ変わっていきました。まず修繕積立金が段階的に上がり、さらに管理費の見直しも議題に上がりました。電気代や人件費、設備点検費の上昇、共用部の維持費増加が理由でした。
ある日、管理組合から届いた総会資料を見た明美さんは、思わず声を上げました。
「こんなに上がるなんて聞いてない……」
資料には、管理費と修繕積立金を合わせた月額負担が、現行の約5万8,000円から、数年後には8万円近くになる見通しが示されていました。住宅ローンと合わせれば、毎月の住居費は26万円を超えます。さらに固定資産税もあります。
智也さんも資料を読み込みながら、表情を曇らせました。
夫婦は、購入時にローン返済額を中心に考えていました。管理費や修繕積立金が将来上がる可能性は説明されていたものの、ここまで家計に響くとは具体的に想像できていなかったのです。
国土交通省『令和5年度マンション総合調査』では、長期修繕計画に基づいて修繕積立金の額を定期的に見直す管理組合がある一方、必要額に対して不足を抱えるマンションもあることが示されています。修繕積立金は、建物を維持するために必要な費用であり、築年数が進むほど大規模修繕や設備更新の負担が重くなりやすいのです。
智也さん夫婦は、駅近の利便性や防犯面、管理の行き届いた共用部には今も満足しています。しかし、住み続けるには想像以上の固定費が必要だと気づかされました。
