相続土地国庫帰属制度を利用する土地は、高額な相続税の対象なのか
では、相続土地国庫帰属制度を利用するような土地では、高額な相続税負担が発生するケースが多いのだろうか。
貝井税理士は、「一般的には、それほど多くない」と話す。
「この制度は、相続税を軽減するための制度ではなく、通常の売却や利活用では処分できない土地について、一定の条件の下で国に引き取ってもらう制度です。もし市場価値の高い土地であれば、費用を負担してまで国に引き取ってもらう人は通常いません」
もっとも、相続税は財産全体で計算されるため、都市部の不動産や預貯金によって相続税が発生し、そのなかに管理が困難な土地が含まれているケースは実務上少なくないという。
土地は「資産」から「負担」へ
今回のニュースが示しているのは、日本の土地市場の構造変化でもある。
かつて、土地は持っているだけで価値が上がる資産と考えられていた。しかし、人口減少や過疎化が進む地域では、固定資産税や管理費だけがかかり、売却も難しい土地が増えている。
こうした状況を受け、2023年に始まった相続土地国庫帰属制度は、所有者不明土地問題への対応策として創設された。
もっとも、国が引き取った後も、すぐに活用先が見つかるわけではない。今回、最大93%の減額案が示されたことは、国自身もまた、「負動産」と向き合わざるを得なくなっている現実を物語っている。
貝井税理士が運営する相続専門サイト「24時間相続」にも、相続土地国庫帰属制度に関する相談は徐々に増えているという。
「誰も住む予定のない実家、遠方の山林や原野、管理できない農地など、『相続したものの活用方法がなく、維持管理だけが負担になっている土地』の相談が増えています」
ただし、不要な土地であれば何でも国に引き取ってもらえるわけではない。
「空き家が建っている土地は制度の対象外ですし、境界が不明確な土地や、管理・処分に過大な費用がかかる土地も承認されないことがあります。相続土地国庫帰属制度は、『不要な土地を処分する制度』というより、『通常の売却や利活用では処分できない土地について、最後の手段として利用する制度』と理解するのが適切でしょう」
近年では、空き家や山林など、処分が難しい不動産を専門に取り扱う事業者も増えている。かつては「売れないから仕方がない」と諦めていた土地でも、専門家に相談することで、新たな活用方法や売却先が見つかる可能性もある。
