妻が縋った「起死回生の一手」が老後計画を白紙に
「最初は利益が出たの。でも、損を取り戻そうとしているうちにやめられなくなって……。気づいたら、相手と連絡が取れなくなってしまったのよ」
妻が手を出したのは、SNSで知り合った見ず知らずの人物から持ちかけられた投資話でした。結果、退職金の残りのすべてを失うこととなったのです。
「どうして一言も相談してくれなかったんだ」
「あなたは家計のことなんて、一度も聞いてくれなかったじゃない。いつ、どうやって相談すればよかったの……」
その言葉に、吉崎さんは返す言葉を失いました。「自分は節約しているのだから大丈夫」と思い込んでいたこと。そして、妻との温泉旅行を願いながら、目の前の妻をまったく見ていなかったことに気づいたからです。
65歳での完全リタイア計画は、一瞬にして白紙。ささやかな旅行どころか、生活費を稼ぐため、吉崎さんは働き続ける未来を余儀なくされたのです。
SBI新生銀行の『2024年会社員のお小遣い調査』によると、男性会社員の1ヵ月のお小遣い平均は3万9,081円(昼食代含む)。多くの夫が、吉崎さんのように日々節約を意識して暮らしています。
しかし、「夫が節約している家庭=家計が健全」とは限りません。「信頼しているから」という言葉は、裏を返せば「丸投げ」という名の思考停止になり得ます。
老後破綻を防ぐために本当に必要なのは、個人の節約ではなく、夫婦で資産状況や将来のリスクを定期的に可視化し、共有することです。お金の不安をどちらか一人に抱え込ませない。それこそが、自分だけの節約よりもずっと確実な、老後対策なのです。
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