夕食後に差し出された、まさかの「通帳残高」
「少し話があるの」
ある晩、重苦しい空気のなか妻がテーブルに差し出したのは、大手銀行の預金通帳。長年コツコツ積み立ててきた貯蓄があり、退職金も入っていたはずでした。
しかし、印字されていた数字は、わずか「約180万円」。吉崎さんは目を疑いました。
いくら住宅ローンの返済があったとはいえ、これほど少ないわけがない。結婚以来、家計はすべて妻に任せきりでしたが、「妻が堅実に管理してくれている」という絶対の信頼があったからこそ、自分は月4万円のお小遣いで満足していたのです。
しかし、現実は違いました。 子どもたちが独立した解放感から、妻の金銭感覚は少しずつ麻痺していったのです。ガーデニング、習い事、旅行サークル、そしてネット通販。吉崎さんが「家計の範囲内だろう」と見過ごしている間に、支出は膨らみ続けていました。
そこへ再雇用による収入減が直撃します。さらに、退職金約1,600万円の大部分が住宅ローンの返済で消えたことで、妻はパニックに陥りました。
「このままじゃ老後の生活費が足りなくなる……」
この焦りが、妻をまさかの行動に走らせたのです。

