「あなたは独り身だから」父の介護で大きく変わった人生計画
「結婚していなかったから。それだけですべて私が背負わされることになりました。それはしかたないとしても、その後のことは許せませんでした」
都内の大学を卒業後、会社員として働いていた加奈子さん(52歳・仮名)。中古マンションを買って一人暮らし。周囲から見れば「自立した計画性のある女性」です。そんな彼女を振り回したのは、母と兄でした。
当時74歳の父が、玄関先で転倒して歩行が不自由に。加奈子さんには2つ上の兄がいましたが、家事や通院のサポートに駆り出されたのは加奈子さんだけでした。
「あなたは独り身だから、融通が利くでしょ? それに娘に面倒見てもらった方が気楽だから。よろしくね」
結婚している兄に頼ろうという気は一切なく、介護サービスの利用を「他人が家に入るのは嫌」と拒絶する母。介護が必要な父自身は、母に逆らう様子もありません。
しかも、父は足が不自由になったことをきっかけに認知症も発症。「必要な時に手伝う程度」と思っていた介護でしたが、その負担は大きくなるばかりでした。
とても仕事が回らないと、加奈子さんは職場にお願いして時短勤務に。役職も降りざるを得ず、年収は760万円から450万円まで激減。結局父の介護は5年に及びました。その間、収入減の影響だけでも1,550万円。ローン返済や介護費用の援助の補填で、貯蓄は300万円以上減りました。
それでも「なんとか看取れた」――そう思った後に、まさかの事態が待っていたのです。
