親が元気なうちに意思を残しておくことが重要
このようなトラブルを防ぐために重要なのは、親が元気なうちに自分の意思を明確にしておくことです。
「長女には長年世話になっているから、自宅は長女に相続させたい」「預貯金は兄妹で分けてほしいが、介護をしてくれた長女には少し多めに残したい」と考えているのであれば、その意思を遺言書という形で残しておく必要があります。
口約束だけでは、相続開始後に争いになる可能性があります。親が生前に「この家はあなたにあげるつもりだから」「お兄ちゃんも分かってくれるはずだから」と言っていたとしても、遺言書がなければ法的にはそのとおりになるとは限りません。
相続人全員の話し合いが必要になり、他の相続人が納得しなければ手続きは進みません。
特に不動産がある場合は注意が必要です。
実家を誰が相続するのか、売却するのか、売却代金をどう分けるのか、共有名義にするのか、代償金を支払うのか。
こうした問題が整理されていないと、相続開始後に兄弟姉妹の間で激しい対立が起こることがあります。
介護をしている側も「記録」を残しておく
一方で、介護をしている子どもの側にも注意点があります。
親のためにお金を使った場合は、できるだけ記録を残しておくことです。
医療費や介護費用の領収書、施設費用や入院費用の明細、生活費として使った支出のメモ、口座から引き出した現金の使途、介護サービスや施設とのやり取りの記録などです。
日々の介護で忙しいなか、すべてを完璧に記録するのは簡単ではありません。
しかし、相続開始後に他の相続人から疑われたとき、記録があるかどうかで状況は大きく変わります。
「母のために使った」と言うだけでなく、「この支出は入院費用です」「この出金は施設への支払いです」と説明できる資料があれば、無用な疑いを避けやすくなります。
また、兄弟姉妹に対して、親の状況や支出の内容を定期的に共有しておくことも有効です。
「何も手伝わない人にいちいち報告したくない」と感じるかもしれませんが、相続トラブルの予防という意味では、情報共有は重要です。
親の状態、利用している介護サービス、毎月の費用、預金からの支払い内容を共有しておくことで、後から「知らなかった」「勝手にやっていた」と言われるリスクを下げることができます。
