お兄ちゃんは何もしてくれなかったくせに…! 母親を介護した50歳長女に、実家への帰省は年に数回の53歳長男が“遺産3,400万円の半分”を要求。「親の面倒を見た子どもが遺産を多くもらえるはず」と信じた長女に突きつけられた<無慈悲な事実>【司法書士が解説】

お兄ちゃんは何もしてくれなかったくせに…! 母親を介護した50歳長女に、実家への帰省は年に数回の53歳長男が“遺産3,400万円の半分”を要求。「親の面倒を見た子どもが遺産を多くもらえるはず」と信じた長女に突きつけられた<無慈悲な事実>【司法書士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

親の相続で揉める家庭は、もともと家族仲が悪かったケースばかりではありません。むしろ、親が元気なうちは何となく保たれていた家族関係が、相続をきっかけに一気に崩れてしまうことがあります。特に多いのが、親の介護をしていた子どもと、ほとんど介護に関わらなかった子どもの間で起こるトラブルです。「母の面倒を見ていたのは私なのに、相続になったらきっちり半分を主張するなんて納得できない」…このような不満は、相続の現場で決して珍しいものではありません。実際に、親の面倒を見ていた子どもの相続分が、ほかの兄弟姉妹よりも増えることはあるのでしょうか。相続に強い司法書士の佐伯知哉氏が解説します。

親が元気なうちに意思を残しておくことが重要

このようなトラブルを防ぐために重要なのは、親が元気なうちに自分の意思を明確にしておくことです。

 

 

「長女には長年世話になっているから、自宅は長女に相続させたい」「預貯金は兄妹で分けてほしいが、介護をしてくれた長女には少し多めに残したい」と考えているのであれば、その意思を遺言書という形で残しておく必要があります。

 

 

口約束だけでは、相続開始後に争いになる可能性があります。親が生前に「この家はあなたにあげるつもりだから」「お兄ちゃんも分かってくれるはずだから」と言っていたとしても、遺言書がなければ法的にはそのとおりになるとは限りません。

 

相続人全員の話し合いが必要になり、他の相続人が納得しなければ手続きは進みません。

 

 

特に不動産がある場合は注意が必要です。

 

 

実家を誰が相続するのか、売却するのか、売却代金をどう分けるのか、共有名義にするのか、代償金を支払うのか。

 

 

こうした問題が整理されていないと、相続開始後に兄弟姉妹の間で激しい対立が起こることがあります。

 

 

介護をしている側も「記録」を残しておく

一方で、介護をしている子どもの側にも注意点があります。

 

親のためにお金を使った場合は、できるだけ記録を残しておくことです。

 

 

医療費や介護費用の領収書、施設費用や入院費用の明細、生活費として使った支出のメモ、口座から引き出した現金の使途、介護サービスや施設とのやり取りの記録などです。

 

 

日々の介護で忙しいなか、すべてを完璧に記録するのは簡単ではありません。

 

 

しかし、相続開始後に他の相続人から疑われたとき、記録があるかどうかで状況は大きく変わります。

 

 

「母のために使った」と言うだけでなく、「この支出は入院費用です」「この出金は施設への支払いです」と説明できる資料があれば、無用な疑いを避けやすくなります。

 

 

また、兄弟姉妹に対して、親の状況や支出の内容を定期的に共有しておくことも有効です。

 

 

「何も手伝わない人にいちいち報告したくない」と感じるかもしれませんが、相続トラブルの予防という意味では、情報共有は重要です。

 

 

親の状態、利用している介護サービス、毎月の費用、預金からの支払い内容を共有しておくことで、後から「知らなかった」「勝手にやっていた」と言われるリスクを下げることができます。

 

 

次ページ具体的な相続対策のポイント5つ

本記事は、司法書士法人さえき事務所代表の佐伯知哉氏が解説します。

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