買い物、病院の付き添い、ケアマネジャーとの打ち合わせ…母親の面倒を一人で見てきた長女
美智子さん(仮名・50歳)は、実家から車で15分ほどの場所に住んでいます。
父親はすでに亡くなっており、実家では母親が一人暮らしをしていました。
母親が75歳を過ぎたころから、少しずつ物忘れが増え、足腰も弱くなっていきました。買い物に行くのが大変になり、病院の付き添いが必要になり、役所の手続きや介護サービスの手配も一人では難しくなっていきます。
美智子さんには兄の康太さん(仮名・53歳)がいますが、結婚して遠方に住んでいます。さらに仕事も忙しいことから、実家に帰ってくるのは年に数回程度でした。
そのため、近くに住む美智子さんがいつも母親の面倒を見ていたのです。
母親から電話があれば仕事の合間を縫って実家に向かい、病院の予約を取って診察に付き添い、薬の管理をする。介護認定の申請を手伝い、ケアマネジャーとの打ち合わせにも同席する。入院すれば着替えを持って病院に通い、退院後の生活環境も整える。母の預金口座からは月々10万円ほどを生活費や医療費として支払い、通帳とキャッシュカードの管理も自然と美智子さんが担うようになりました。
この生活が、母親が85歳で亡くなるまで、10年近く続きました。
美智子さんとしては、母親のために当然のことをしているつもりでした。ただ、心のどこかには「兄は何もしてくれない。たまに電話をしてくるだけで、実際に動くのはいつも私」という不満もありました。それでも、母親のことを思えば仕方がないと、自分を納得させながら介護を続けてきたのです。
