米国に相続税はないは本当か?州ごとに異なる「遺産税」と「相続税」の実態【国際税理士が解説】

米国に相続税はないは本当か?州ごとに異なる「遺産税」と「相続税」の実態【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「アメリカには相続税がない」とよく言われます。しかし、実際には州によって独自の遺産税や相続税が設けられており、相続手続きにかかる費用まで含めると、決して負担がゼロとは言えません。日本とは大きく異なるアメリカの相続制度について、『トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か——税制が映し出すアメリカの真実』の著書がある奥村眞吾税理士が詳しく解説します。

相続人に課税する5州の相続税制度

一方で、相続人自身に課税する「相続税(Inheritance Tax)」を採用している州もあります。

 

現在、該当するのは次の5州です。

 

・ケンタッキー州(4~16%)
・メリーランド州(一律10%)
・ネブラスカ州(1~15%)
・ニュージャージー州(11~16%)
・ペンシルベニア州(4.5~15%)

 

ただし、多くの場合、配偶者や直系親族は非課税となっています。一方で、婿・嫁、いとこ、甥・姪、事実婚のパートナーなどが課税対象となるケースもあるため、注意が必要です。

 

特にメリーランド州は、遺産税と相続税の両方が存在する全米でも珍しい州です。そのため、「この州で亡くなるのは避けたい」と言われることもあります。

「プロベート」という隠れた負担

金そのものはなくても、相続手続きに大きな負担が生じる州もあります。

 

被相続人が亡くなった後、裁判所が相続人を法的に確定する手続きは「プロベート(Probate)」と呼ばれます。州によっては、この手続きに多額の費用と長い時間が必要になります。

 

アーカンソー州、ミズーリ州、ワイオミング州、カリフォルニア州、フロリダ州などでは、遺産税や相続税がなくても、裁判所費用や弁護士費用の負担が重く、「隠れた遺産税」と表現されることもあります。

 

特に、これらの費用は純資産ではなく総資産(グロス資産)を基準として計算される点に注意が必要です。住宅ローンなどの借入金が残っていても差し引かれないため、想定以上の負担になる場合があります。

 

もちろん、トラスト(信託)を活用してプロベートを回避する方法もありますが、制度は州ごとに異なるため、専門家への相談が欠かせません。

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