データセンター用の「完璧な立地」は世界に存在しない
データセンター立地を決定する要素は、電力、冷却、接続性、法域、自然災害リスク、政治安定性、人材と多面的だ。すべてを高水準で満たす場所は存在しない。
電気が足りないバージニア、水がない中東、東京から遠すぎる北海道
米国のバージニア州北部は接続性で世界最高だが電力が飽和。シンガポールは接続性と法域で優れるが電力と冷却に制約がある。
日本の千葉県印西市は接続性が高いが電力系統に飽和の兆候があり、人材確保にも課題がある。北海道は冷却と電力で優位である一方、東京などの利用者が集積する地域までの距離が遠く、レイテンシ(通信遅延)が大きな課題となる。完璧な立地は幻想であり、立地評価では何が自社のワークロードにとって致命的かを用途別に優先順位づける必要がある。
各国の戦略はいくつかの類型に分かれる。中東に代表される電力と土地が豊富な砂漠型、シンガポールのように接続性を最優先する都市型、そしてバージニア、アイルランド、日本の印西のように電力飽和に直面しゾーニングや料金設計で対応を迫られる先行型だ。
アイルランドでは、2024年にはデータセンターの電力消費が国全体のメーター電力の22%超に達し、モラトリアムと条件付き再開を経験した。シンガポールも2019年にモラトリアムを決定し、選択的承認制(DC-CFA)で需要を管理する。
オランダは70MW超・10ha以上級の新規ハイパースケールデータセンターについて、立地をHet HogelandとHollands Kroonの2指定地域に限定する規制を導入した。
中東のUAE・サウジアラビアは砂漠の再エネと潤沢な資金でGPUを大量調達するが、冷却用の水資源を海水淡水化に依存するジレンマを抱える。
世界一データが集まり、世界一電力不足のバージニア州北部
電力制約が最も先鋭化しているのがバージニア州北部だ。ラウドン郡を中心としたデータセンター・アレーと呼ばれる北バージニアは世界最大のデータセンター集積地であり、米州の運用容量の約25%、世界の約13%を占めるという※1。2025年10月障害の舞台であるAWSのus-east-1リージョンもここに位置する。
※1 バージニア州合同立法監査審査委員会。
https://jlarc.virginia.gov/landing-2024-data-centers-invirginia.asp
TeleGeographyが2026年に公開したMarket Connectivity Score分析は、この集中のリスクを定量的に裏付ける。北バージニアは世界最大のデータセンター市場であると同時に、データセンター容量に対する電力供給の逼迫度でも世界で最も逼迫した水準のスコアを記録した。
データセンターパイプラインは巨大だが、計画中の電力供給は200市場中の下位半分にとどまる。世界で最もデータが集積し、電力が足りない場所。それが2026年のバージニア州北部だ。
