ホルムズ海峡と紅海の危機は「AI」にも大打撃
エネルギーのホルムズ、通信の紅海。2つのチョークポイントは連動していた。ホルムズ海峡が事実上封鎖され、原油とLNGの供給が逼迫すれば、データセンターを支える電力とその建材も逼迫する。紅海の航行リスクが海底ケーブルの保守と増設を阻めば、通信の冗長性が失われる。通信、エネルギー、計算資源が同時に制約を受ける。
かつてのデータセンターはデジタルデータの倉庫としての側面が大きかった。生成AIの登場によって、その性格は大きく変わった。
生成AIの「知性」を支えるのは、洗練されたアルゴリズムだけではない。数十万基の高性能GPU、それを支える大量の電力、そして冷却水だ。データセンターは製鉄所や化学プラントに比肩する重厚長大産業となった。
データセンターには「3つのタイプ」がある
議論の前提としてデータセンターの種別を整理したい。
1.コロケーション型
コロケーション型は、企業などの顧客が主にサーバーなどの機器を持ち込む施設で、多数の顧客が1棟のビルに入居する。1棟あたり数MW(メガワット)〜数十MWの電力規模が典型的だ。日本ではNTTドコモビジネスやKDDIなどの通信事業者、NEC、SCSK、富士通などのSIerのデータセンターが上位を占める。
2.キャリアホテル型
キャリアホテル型は、このコロケーション型の一類型で、データセンターとしての設備は同じだが、顧客層や主な用途が異なり、主にネットワークの集積拠点になっているデータセンターである。アット東京や米Equinix(エクイニクス)のように複数の通信事業者やインターネットエクスチェンジ、クラウド事業者が通信機器を持ち込み相互接続する役割を担っている。
3.ハイパースケール型
これに対し、近年の投資の主役はハイパースケール型だ。数十MW〜GW(ギガワット)級の電力容量を持つ巨大施設を、特定顧客または自社専用に建設する。
日本でも外資系データセンター事業者や不動産会社による開発が相次ぐ大型データセンター、あるいはGoogleのオレゴン州ザ・ダルズやスウェーデンのルレオに置かれたMetaのデータセンター群はこの類型で、クラウド基盤のサーバーやAI学習用に数万基のGPUが並ぶ。
さらに2024年以降、OpenAIとの合弁でテキサス州アビリーンの1.2GWをはじめとして、合計最大5GWを計画するStargateや、最終形で数十万のTrainium2チップを集積するAWSのProject Rainierのようにギガワット級の超大規模キャンパスが構想され始めた。これらは中規模の原子力発電所に匹敵する電力を要する。送電網の容量、水資源、用地確保は、いずれもこのスケールの爆発的拡大がもたらす物理的な制約だ。
