「電気代を押し上げるな」2026年2月、トランプ大統領がAmazon・Googleら巨大テックのボスをホワイトハウスに呼びつけた〈異例のパワーゲーム〉

「電気代を押し上げるな」2026年2月、トランプ大統領がAmazon・Googleら巨大テックのボスをホワイトハウスに呼びつけた〈異例のパワーゲーム〉
(※写真はイメージです/PIXTA)

AIはいまや、我々の生活に欠かせない存在になっている。ちょっとした調べものから気持ちの整理まで、日常的にAIを使う人も多いだろう。しかし、その裏でAIの利用には大量の電気と水が使われていることをご存じだろうか。AIを支えるデータセンターは急速に巨大化・増加しており、物理的な資源が枯渇しかねない状況にある――。白畑真氏の著書『デジタルインフラの地政学 インターネット データセンター AI 急所を握るのは誰か』(日経BP)から、世界のデータセンターをめぐる現状を解説する。

AIへの質問1回で、検索の10倍の電気を消費

国際エネルギー機関の予測では、2030年までに世界のデータセンター電力需要は、日本の総消費量に匹敵する年間945TWh(テラワットアワー)に達する可能性がある。主要市場での系統接続待ち時間は4年を超え、送電網の容量不足が顕在化している。

 

電力制約が鮮明に表れているのは、米国バージニア州を本拠とする電力会社Dominion Energy(ドミニオン・エナジー)の管轄区域だ。世界最大のデータセンター集積地であるアッシュバーン(ラウドン郡)を含むこの地域は、AWSのus-east-1リージョンの物理的基盤だ。

 

Dominionは2039年までにデータセンター向け電力需要が現在の3倍に達すると予測し、新規の大口需要家への系統接続を一時停止する事態に追い込まれた。全米各地で規制当局がデータセンター向け電力供給の制限を検討し、住民の生活用電力との配分が政治問題化している。

 

電力制約が計算資源制約と重なり、ギガワット級の系統接続を確保できる主体に絞られた寡占構造は、もはや市場原理では覆らない段階に入りつつある。

 

AIによる推論コストはAIの学習以上に重い長期的課題だ。GPT-4クラスのモデルへの1回の問い合わせはGoogle検索の約10倍の電力を消費するとの推計もあり、生成AIが検索を代替する世界では電力需要は大幅に増大する。

「水資源」を圧迫し、「脱炭素政策」をも妨げる

GPU高集積化で発熱量が増すAI向けデータセンターでは、安定稼働には大量の水を使う水冷方式が欠かせない。Googleは2024年の環境報告書で自社データセンターの水使用量が前年比17%増加したと公表した。Microsoftも同様の傾向を報告している。

 

米国アリゾナ州グッドイヤー市ではMicrosoftのデータセンター建設に対し、住民が水資源の枯渇を懸念して反対運動を起こした。チリのセリジョスではGoogleのデータセンター計画に対し、乾燥地帯での水使用に環境団体が訴訟を提起している。アイルランドでは電力制約が政策課題として表面化し、新規データセンター接続の制限に踏み切った。

 

再エネの供給能力を電力需要の伸びが上回るため、一部地域では廃止予定の火力発電所の稼働延長や、次世代の原子炉である小型モジュール炉(SMR)の採用が検討される。

 

Microsoftが電力購入契約を通じてスリーマイル島の再稼働を支援し、GoogleがKairos PowerのSMRからの電力購入契約を締結したことは、生成AIを支えるデジタルインフラが、数式とコードというよりも電力に支えられる重厚長大産業であることを、浮き彫りにした。

 

米不動産サービス大手のジョーンズラングラサール(JLL)は、2030年までに累計3兆ドル規模の資本がデータセンター建設に必要と予測する。2027年ごろが投資回収の分岐点とされ、AIが巨額投資に見合う収益を生まなければ不良債権化リスクが残る。

 

次ページデータセンター用の土地がない…世界が抱える“ジレンマ”

※本連載は、白畑 真氏の著書『デジタルインフラの地政学 インターネット データセンター AI 急所を握るのは誰か』(日経BP)より一部を抜粋・再編集したものです。

デジタルインフラの地政学 インターネット データセンター AI 急所を握るのは誰か

デジタルインフラの地政学 インターネット データセンター AI 急所を握るのは誰か

白畑 真

日経BP

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