会社から個人へ無税・低税率でお金を移す「2つの方法」
「税金が高くなるから役員報酬は上げたくないけれど、個人の手元にはもっと資金がほしい」と思う社長もいるでしょう。この場合、国のルールに則って合法的に無税でお金を移す方法が2つあります。
1.出張手当の導入
会社で「出張旅費規程」というルールを作成すれば、実費の交通費や宿泊費とは別に「日当」として出張手当を支給できます。この出張手当は、会社側では全額経費として落とせるにもかかわらず、受け取る社長個人には所得税も住民税もかからず非課税になるというメリットがあります。
たとえば、日当と宿泊費で2万円支給し、実際の出費が1万円で済めば、差額の1万円は“非課税の臨時収入”となります。ただし、1回の金額は社会通念上妥当なラインにする必要があります。
2.役員退職金の活用
「役員退職金」は、税制面でかなり優遇されています。通常の給与とは分けて計算される「分離課税」であり、勤続年数に応じた「退職所得控除」という大きな非課税枠が使えます。さらに、非課税枠を超えた金額も半分にしてから税金を計算する「2分の1課税」という強力な特例があり、社会保険料もいっさいかかりません。
退職金の原資づくりとしては、「経営セーフティ共済」などを利用して法人の利益を圧縮しながら積み立てていくのが有効です。毎月20万円(年間240万円)、総額最大800万円まで全額会社の経費にしながら積み立てることができます。
ただし、実際にお金を使えるのは将来引退するタイミングとなります。したがって、いますぐ手元に自由に使えるお金が欲しい場合には多少税金が高くなっても役員報酬を増やして受け取るのが現実的な解決策といえます。
金額は「毎月固定」が基本…役員報酬の厳しいルール
とはいえ、役員報酬には厳しいルールがあり、利益が出たからといって自由に金額を変えることはできません。社長が自由に給料を変えられると、決算直前に法人税を0にするといった不当な利益操作が簡単にできてしまうからです。
毎月固定額の原則
原則として、毎月同じ固定の金額を支払い続ける必要があります。そうしないと会社の経費(損金)として認められません。
変更できるタイミング
役員報酬の金額を変更できるのは、決算終了後から3ヵ月以内のタイミングのみです(たとえば4月期首の会社なら6月中まで)。
ボーナス(事前確定届出給与)の制約
また、決算前にいきなり役員ボーナスを出すこともできません。役員にボーナスを出す場合は、遅くとも期首から4ヵ月以内に税務署へ届け出を出し、支給日と金額を事前に確定させておく必要があります。

