(※画像はイメージです/PIXTA)

2026年は波乱含みながら堅調なスタートを切ったあと、イラン情勢や原油価格の上昇といった相反するマクロ経済要因の影響を受け、金価格は1オンス当たり4,400~4,700ドル前後※1で推移しています。このため2026年後半に向けては戦術的に難しい状況にあります。この状況は、投資家にとって戦術的に忍耐強さが求められているといえますが、構造的な需要が依然として堅調であることを踏まえると、戦略的な分散投資手段として金を引き続き検討すべき根拠となります。本稿では、6月の金価格を左右した主要テーマを整理します。なお、本稿はステート・ストリート・インベストメント・マネジメントの5名のストラテジストによる共同執筆です。

アジア太平洋(APAC)が金需要の“新しい主役”に

アジア太平洋地域においては、規制変更や市場の取り組みが功を奏しており、個人投資家、機関投資家、公的セクターを問わず市場参入が広がっており、これまでのマクロ経済的な追い風に加え、より構造的な需要チャネルが形成されています。

 

年初来、アジア太平洋地域に籍を置く金ETFへの資金流入額は162億ドル(100トン)に達し、グローバルな金ETFへの純流入額の82%を占めています※31。当社は、今後数年間、これらの市場が構造的な需要をけん引すると予想しています。

 

中国…不動産不況の“代わりの安全資産”として金が選ばれている

規制改訂や市場動向の変化が、国内資産における金の役割を高めています。保険会社に1%を上限に金への投資を認める試験的取り組みが、機関投資家による金投資の後押しとなっており、今後拡大する余地もあります。

 

代替投資における実物資産が限られていることや、不動産市場の低迷が数年続いていることも、金需要を下支えしています。中国および香港に上場する金ETFには、年初来で97億ドル(58トン)の資金が流入しており、これはグローバルな純流入額の49%を占めています※32

 

中央銀行においても準備資産の多様化の流れが需要を生んでおり、中国の投資家にとっては前向きな見通しを後押ししています。これと並行して、香港では、アクセス、流動性、および国境を跨ぐ連携が改善され、この地域への現物およびETFの資金流入を支えています。

 

インド…金人気が過熱し「経常赤字」を悪化させる構図に

金投資商品がより身近になるような政策変更が行われている一方、税制の簡素化により、金連動型商品の導入が普及してきています。

 

また同時に、インドの経常収支は無視できないほどひっ迫しつつあり、主に原油価格が上昇したことにより、対GDPの経常赤字は2026年度の0.9%の見通しから2027年度には2.3%に拡大すると予測されています。

 

国内における金への強い消費需要もこの赤字に拍車をかけており、ルピー安を招き、外貨準備を減少させる恐れがあります。ルピーへの下落圧力は顕著であり、今年は対ドルで約6%下落し、アジア主要通貨のなかで最も低調なパフォーマンスを記録するとともに、過去最安値まで下落しました。

 

金は、2025~26年度におけるインドの輸入の上位3位(約720億ドル)となるなか、インドの政策当局は金の輸入関税を2倍以上に引き上げ、またモディ首相も国民に対し少なくとも1年間は金の購入を控えるよう呼びかけています※33

 

とはいえ、金需要の金融商品化に向けた取り組みは、中期的には引き続き追い風となります。公的年金では最大1%、私的年金では最大5%の金ETFへの投資を認めており、より構造的な需要の拡大につながる可能性があります。当社の試算によると、インドの公的年金制度が1%を配分したとすれば、金投資需要の約1%に相当する追加需要が生じる可能性があります※34

 

こうした政策面の支援を受け、インド籍のETFには36億ドル(22トン)の資金が流入しており、これはグローバルな純流入額の18%に相当します※35

 

 

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免責事項▼

〈ご留意事項〉
本書は、投資の推奨や投資アドバイスを意図したものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。

本稿に示されている内容は2026年05月31日時点のSPDRゴールド戦略チームの見解であり、市場及び他の条件によって変更される場合があります。本稿には将来予測に関する記述と見なされる情報が含まれており、そうした内容は将来の運用成果を保証するものではなく、実際の結果や展開は予測とは大きく異なる可能性があります。

提供された情報は、投資助言に該当するものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。本情報は、有価証券の購入の勧誘または売却の申出とみなされるべきものではありません。本情報は、投資家の特定の投資目的、戦略、税務上の地位または投資期間を考慮したものではありません。ご自身の税務・財務アドバイザーにご相談ください。

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コモディティへの投資は大きなリスクを 伴うため、すべての投資家に適した投資対象ではありません。コモディティは、価格変動要因が多岐にわたり極めて価格変動が大きいことから、投資に際しては非常に大きなリスクを伴います。たとえば、市場全般の動き、実際の、または認識されたインフレ基調、コモディティ・インデックスのボラティリティ、海外情勢/景気/政治情勢の変化、金利や為替レートの変化などの要因があります。

分散投資は、利益の確保または損失を防ぐことを保証するものではありません。

本資料は、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが作成したものをステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が和訳したものです。内容については原文が優先されることをご了承下さい。

Tracking Number: 8980824.1.2.APAC.RTL ExpDate:6/30/2027

〈注記〉
※1 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 19, 2026. Note: Unless otherwise noted, all dollar amounts are in US dollars. Gold prices are expressed in dollars per troy ounce ($/oz).

※2 Bloomberg Finance, L.P., World Gold Council, State Street Investment Management, as of May 19, 2026.

※3 Institute of International Finance, State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※4 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of April 30, 2026.

※5 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 31, 2026.

※6 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 31, 2026.

※7 World Gold Council, State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※8 China Customs, Shanghai Gold Exchange, State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※9 World Gold Council, State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※10 Bloomberg Finance, L.P., Morningstar, State Street Investment Management, as April 30, 2026.

※11 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, dates range from 2016-2026.

※12 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 31, 2026.

※13 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 31, 2026.

※14 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 31, 2026.

※15 Bloomberg Finance L.P., State Street Investment Management, data as of May 31, 2026. Note: In 2025, the US dollar Index was down 9% and the spot price of gold ($/oz) was up 65%.

※16 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 31, 2026.

※17 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 31, 2026.

※18 World Gold Council Global Demand Trends, as of April 29, 2026.

※19 World Gold Council Global Demand Trends, as of April 29, 2026.

※20 World Gold Council Global Demand Trends, as of April 29, 2026.

※21 World Gold Council Global Demand Trends, as of April 29, 2026.

※22 World Gold Council, as of May 14, 2026.

※23 World Gold Council Global Demand Trends, as of April 29, 2026.

※24 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※25 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 21, 2026.

※26 World Gold Council Global Demand Trends, as of April 29, 2026.

※27 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※28 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※29 Bloomberg Finance, L.P., World Gold Council, State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※30 State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※31 World Gold Council, State Street Investment Management, as of May 19, 2026.

※32 World Gold Council, State Street Investment Management, as of May 19, 2026.

※33 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 19, 2026.

※34 www.pib.gov.in, State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※35 World Gold Council, State Street Investment Management, as of May 19, 2026.

※36 Bank of Japan, Outlook for Economic Activity and Prices, as of April 28, 2026.

※37 World Gold Council, Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 19, 2026. Publicly offered gold ETF net inflows of $1.465 billion (10t) and ITM net inflows of $3.544 billion (24t)

※38 Monetary Authority of Singapore Press Release, as of March 27, 2026.

〈出所〉
★1 出所:LBMA(ロンドン貴金属市場協会)、LME(ロンドン金属取引所)、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント、2026年4月30日時点。
注:この比率は、金1トロイオンスと交換可能な銅のトン数を示しています。記載されているパフォーマンスは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

★2 出所:ブルームバーグ・ファイナンス,L.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント(1990年~2026年)。
注:米国株式はS&P5000指数、米国債券はブルームバーグ総合債券指数で示されています。金はLBMAのスポット終値、米ドルはDXY指数で表されています。記載されているパフォーマンスは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

★3 出所:中国税関、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント(2019年~2026年)。
注:非金融目的の金輸入は、報告されている中国人民銀行(PBOC、中央銀行)による購入分を除外しているため、個人需要の代理指標とみなされます。

★4 出所:ブルームバーグ・ファイナンス,L.P.、モーニングスター、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。データは2026年4月30日時点。
注:記載されているパフォーマンスは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

★5 出所:ブルームバーグ・ファイナンス,L.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。データは2026年5月11日時点。
注:記載されているパフォーマンスは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

★6 出所:ブルームバーグ・ファイナンス,L.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。データは2026年3月31日時点。
注: 2026年第1四半期のブルームバーグのデータは、改訂される可能性があります。記載されているパフォーマンスは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

★7 出所:ワールド ゴールド カウンシル、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。データは2026年3月31日時点。2026年の予測はステート・ストリート・インベストメント・マネジメントによるものです。
注:2026年の中央銀行需要の予測は、2026年第1四半期の純購入量244トンから開始し、2011年~2025年の過去データ(異常値とみなされる2010年および2020年を除く)に基づく年間残り期間の需要パターンを用いて、第2四半期~第4四半期の需要を推計しています。弱気ケースおよび強気ケースは、それぞれ過去の第2~第4四半期需要の30パーセンタイルおよび70パーセンタイルを使用し、ベースケースは過去平均を使用しています。記載されているパフォーマンスは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

★8 出所:ワールド ゴールド カウンシル、ブルームバーグ・ファイナンス,L.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。データは2026年5月19日時点。
注:記載されているパフォーマンスは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

〈用語集〉
弱気相場……有価証券の価格が下落し、ネガティブな投資家心理が強まる局面。正確な測り方はさまざまですが、少なくとも2ヵ月にわたって広範な市場指数が高値から20%下落した場合、多くの人々から弱気相場と見なされます。この用語は、熊が爪で獲物を襲う際に腕を振り下ろすイメージから派生しています。

金地金……純度99.5%以上の現物の金または現物の銀を指す用語。

強気相場……市場の上昇局面を指し、一部では2年連続での上昇と定義されています。この用語は、雄牛がツノを振り上げるイメージから派生しています。

相関係数……相関係数は、2つの変数間の線形関係の強さの統計的尺度です。値の範囲は-1から+1で示されます。

上場投資信託(ETF)……ETFは、原資産(通常は指数)へのエクスポージャーを提供するオープンエンド型ファンドです。個別株と同様に、ETFは取引所で終日売買されます。投資信託とは異なり、ETFは空売りと信用買いが可能で、多くの場合は付随するオプションが存在します。

フィアット通貨……政府が法定通貨であると宣言した貨幣ですが、現物のコモディティで裏付けられていません。フィアット通貨の価値は、歴史的に、その材料として使用されている金や銀などの価値ではなく、需要と供給に連動しており、その国の信頼と信用のみに基づいて決まります。

国内総生産(GDP)……特定の期間に、その国で生産された財やサービスの総額を示す指標。一国の経済に関する健全性を示す重要な指標で、報道や政府によってしばしば引用されます。

インフレ……一定の期間での経済の財とサービスの価格における全般的な上昇で、通貨単位あたりの購買力の喪失につながります。インフレは多くの場合、通貨供給量が経済成長を上回るペースで増加するときに起こります。中央銀行は経済を円滑に運営するため、インフレの抑制やデフレの回避を目指します。

金のスポット価格……スポット市場における金の価格。国際的通貨コード「XAU」で表記される、1トロイオンス当たりの金価格。米ドル建て。

テールリスク、またはファットテールリスク……予期せぬ事象に起因するポートフォリオリスクの一種であり、株式市場の急落や、短期国債や金などの安全資産への資金逃避を引き起こす。2008年9月のリーマン・ブラザーズの破綻と、それに続く資産価格の急落は、テールリスク事象の好例と見なされている。テールリスクという名称は、それが正規分布曲線の「裾野の部分」で発生することからこのように呼ばれる。従来のポートフォリオ戦略では、市場リターンは正規分布に従うという考えに基づいて設計されている。テールリスク事象の定量化は主観的であるが、よく使われる定義の一つとしては、投資対象が中央値から3標準偏差以上離れる可能性が、正規分布が示す確率よりも高い場合にテールリスク事象が発生するとされる。

米国債……中央政府の債務であり、「政府証券」としても知られる国債は、一国の信用力と課税力に裏打ちされているため、債務不履行のリスクはほとんどないか、全くないとみなされています。

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