(※画像はイメージです/PIXTA)

2026年は波乱含みながら堅調なスタートを切ったあと、イラン情勢や原油価格の上昇といった相反するマクロ経済要因の影響を受け、金価格は1オンス当たり4,400~4,700ドル前後※1で推移しています。このため2026年後半に向けては戦術的に難しい状況にあります。この状況は、投資家にとって戦術的に忍耐強さが求められているといえますが、構造的な需要が依然として堅調であることを踏まえると、戦略的な分散投資手段として金を引き続き検討すべき根拠となります。本稿では、6月の金価格を左右した主要テーマを整理します。なお、本稿はステート・ストリート・インベストメント・マネジメントの5名のストラテジストによる共同執筆です。

2026〜2027年は、金への資金流入が本格化する余地が大きい

3.金の「現物需要」が高まっている

欧米における金融資産としての金需要は、リスクオン・オフの局面やFRBの政策転換に伴い変動することがありますが、金は究極的には「現物」のコモディティ資産であり、中国の個人投資家や各国中央銀行など、世界的に多様な主体からのニーズがあるため、価格の下支え要因となり得ます。

 

2026年第1四半期(イラン紛争の発生した最初の月を含む)の金地金・金貨の需要は、前年同期比42%増の474トンとなり、これは四半期の記録としては過去2番目の高水準となりました※7

 

中国の個人消費も堅調で、2026年第1四半期の非金融目的の輸入量は月平均123.1トンとなり、2025年第1四半期の月平均55.5トンから増加、しかもスポット価格はこの間70~80%上昇しています※8

 

公的部門の購入量も2026年第1四半期は244トンと、2025年第1四半期比で3%増加しました。これは、トルコ、ロシア、その他の中央銀行による一部売却を相殺するものでした※9

 

金に強気な投資家にとって、金の現物投資需要が堅調であることは望ましい状況です。なぜなら、金の場合、宝飾品消費に比べて価格弾力性が低い傾向にあるためです。第二次トランプ政権の政策により地政学的分断が強まる可能性があるなか、金は「中立的な」価値の保存手段として恩恵を受けることになりそうです。

 

[図表3]中国は、イラン情勢や石油ショックにもかかわらず、3月に非金融目的の金輸入を拡大★3

 

4.金は“買われ過ぎ”になることはあっても、“保有し過ぎ”になることはない

2023年から2026年にかけて金価格が約150%の歴史的な上昇をみせたにもかかわらず、4月末時点での世界の金ファンドの保有高が世界の投資信託およびETF資産に占める割合は未だ1%にとどまっており※10、これはほとんどのポートフォリオに適切な戦略的目標配分だと当社が考える3~10%の水準を大きく下回っています。

 

したがって、2026年から2027年にかけて金への資産配分が拡大する余地は十分あると当社はみています。

 

金は歴史的に伝統的な資産との相関性が低く、また銀やビットコインといった他の代替法定通貨と比較して価格も安定しているため、投資家は戦略的に金保有の追加を検討する可能性があります※11。また、デュレーションや世界経済の成長に対するヘッジとして、金への戦略的配分が増加する可能性もあります。

 


[図表4]世界の投資信託およびETF資産に占めるグローバルなゴールド・ファンドへの投資割合★4

 

 

次ページ米政府債務は「過去最高」レベルに

免責事項▼

〈ご留意事項〉
本書は、投資の推奨や投資アドバイスを意図したものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。

本稿に示されている内容は2026年05月31日時点のSPDRゴールド戦略チームの見解であり、市場及び他の条件によって変更される場合があります。本稿には将来予測に関する記述と見なされる情報が含まれており、そうした内容は将来の運用成果を保証するものではなく、実際の結果や展開は予測とは大きく異なる可能性があります。

提供された情報は、投資助言に該当するものではなく、そのようなものとして依拠されるべきではありません。本情報は、有価証券の購入の勧誘または売却の申出とみなされるべきものではありません。本情報は、投資家の特定の投資目的、戦略、税務上の地位または投資期間を考慮したものではありません。ご自身の税務・財務アドバイザーにご相談ください。

当社の書面による明示的な同意なしに、本著作物の全部または一部を複製、複写もしくは送信し、または第三者に開示することはできません。

本稿の全部または一部の複製、複写、転送等を禁止し、いかなる内容についてもステート・ストリート・インベストメント・マネジメントによる事前の書面での同意なしに、第三者に開示してはなりません。

本稿で言及されている商標やサービスマークは、それぞれの所有者に帰属します。第三者のデータ提供者は、データの正確性、完全性、適時性に関するいかなる保証も表明もしておらず、当該データの使用に関連して発生するいかなる損害にも責任を負いません。

コモディティへの投資は大きなリスクを 伴うため、すべての投資家に適した投資対象ではありません。コモディティは、価格変動要因が多岐にわたり極めて価格変動が大きいことから、投資に際しては非常に大きなリスクを伴います。たとえば、市場全般の動き、実際の、または認識されたインフレ基調、コモディティ・インデックスのボラティリティ、海外情勢/景気/政治情勢の変化、金利や為替レートの変化などの要因があります。

分散投資は、利益の確保または損失を防ぐことを保証するものではありません。

本資料は、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメントが作成したものをステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ株式会社が和訳したものです。内容については原文が優先されることをご了承下さい。

Tracking Number: 8980824.1.2.APAC.RTL ExpDate:6/30/2027

〈注記〉
※1 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 19, 2026. Note: Unless otherwise noted, all dollar amounts are in US dollars. Gold prices are expressed in dollars per troy ounce ($/oz).

※2 Bloomberg Finance, L.P., World Gold Council, State Street Investment Management, as of May 19, 2026.

※3 Institute of International Finance, State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※4 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of April 30, 2026.

※5 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 31, 2026.

※6 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 31, 2026.

※7 World Gold Council, State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※8 China Customs, Shanghai Gold Exchange, State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※9 World Gold Council, State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※10 Bloomberg Finance, L.P., Morningstar, State Street Investment Management, as April 30, 2026.

※11 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, dates range from 2016-2026.

※12 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 31, 2026.

※13 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 31, 2026.

※14 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 31, 2026.

※15 Bloomberg Finance L.P., State Street Investment Management, data as of May 31, 2026. Note: In 2025, the US dollar Index was down 9% and the spot price of gold ($/oz) was up 65%.

※16 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 31, 2026.

※17 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 31, 2026.

※18 World Gold Council Global Demand Trends, as of April 29, 2026.

※19 World Gold Council Global Demand Trends, as of April 29, 2026.

※20 World Gold Council Global Demand Trends, as of April 29, 2026.

※21 World Gold Council Global Demand Trends, as of April 29, 2026.

※22 World Gold Council, as of May 14, 2026.

※23 World Gold Council Global Demand Trends, as of April 29, 2026.

※24 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※25 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 21, 2026.

※26 World Gold Council Global Demand Trends, as of April 29, 2026.

※27 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※28 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※29 Bloomberg Finance, L.P., World Gold Council, State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※30 State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※31 World Gold Council, State Street Investment Management, as of May 19, 2026.

※32 World Gold Council, State Street Investment Management, as of May 19, 2026.

※33 Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 19, 2026.

※34 www.pib.gov.in, State Street Investment Management, as of March 31, 2026.

※35 World Gold Council, State Street Investment Management, as of May 19, 2026.

※36 Bank of Japan, Outlook for Economic Activity and Prices, as of April 28, 2026.

※37 World Gold Council, Bloomberg Finance, L.P., State Street Investment Management, as of May 19, 2026. Publicly offered gold ETF net inflows of $1.465 billion (10t) and ITM net inflows of $3.544 billion (24t)

※38 Monetary Authority of Singapore Press Release, as of March 27, 2026.

〈出所〉
★1 出所:LBMA(ロンドン貴金属市場協会)、LME(ロンドン金属取引所)、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント、2026年4月30日時点。
注:この比率は、金1トロイオンスと交換可能な銅のトン数を示しています。記載されているパフォーマンスは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

★2 出所:ブルームバーグ・ファイナンス,L.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント(1990年~2026年)。
注:米国株式はS&P5000指数、米国債券はブルームバーグ総合債券指数で示されています。金はLBMAのスポット終値、米ドルはDXY指数で表されています。記載されているパフォーマンスは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

★3 出所:中国税関、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント(2019年~2026年)。
注:非金融目的の金輸入は、報告されている中国人民銀行(PBOC、中央銀行)による購入分を除外しているため、個人需要の代理指標とみなされます。

★4 出所:ブルームバーグ・ファイナンス,L.P.、モーニングスター、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。データは2026年4月30日時点。
注:記載されているパフォーマンスは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

★5 出所:ブルームバーグ・ファイナンス,L.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。データは2026年5月11日時点。
注:記載されているパフォーマンスは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

★6 出所:ブルームバーグ・ファイナンス,L.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。データは2026年3月31日時点。
注: 2026年第1四半期のブルームバーグのデータは、改訂される可能性があります。記載されているパフォーマンスは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

★7 出所:ワールド ゴールド カウンシル、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。データは2026年3月31日時点。2026年の予測はステート・ストリート・インベストメント・マネジメントによるものです。
注:2026年の中央銀行需要の予測は、2026年第1四半期の純購入量244トンから開始し、2011年~2025年の過去データ(異常値とみなされる2010年および2020年を除く)に基づく年間残り期間の需要パターンを用いて、第2四半期~第4四半期の需要を推計しています。弱気ケースおよび強気ケースは、それぞれ過去の第2~第4四半期需要の30パーセンタイルおよび70パーセンタイルを使用し、ベースケースは過去平均を使用しています。記載されているパフォーマンスは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

★8 出所:ワールド ゴールド カウンシル、ブルームバーグ・ファイナンス,L.P.、ステート・ストリート・インベストメント・マネジメント。データは2026年5月19日時点。
注:記載されているパフォーマンスは過去のパフォーマンスです。過去のパフォーマンスは将来の結果を保証するものではありません。

〈用語集〉
弱気相場……有価証券の価格が下落し、ネガティブな投資家心理が強まる局面。正確な測り方はさまざまですが、少なくとも2ヵ月にわたって広範な市場指数が高値から20%下落した場合、多くの人々から弱気相場と見なされます。この用語は、熊が爪で獲物を襲う際に腕を振り下ろすイメージから派生しています。

金地金……純度99.5%以上の現物の金または現物の銀を指す用語。

強気相場……市場の上昇局面を指し、一部では2年連続での上昇と定義されています。この用語は、雄牛がツノを振り上げるイメージから派生しています。

相関係数……相関係数は、2つの変数間の線形関係の強さの統計的尺度です。値の範囲は-1から+1で示されます。

上場投資信託(ETF)……ETFは、原資産(通常は指数)へのエクスポージャーを提供するオープンエンド型ファンドです。個別株と同様に、ETFは取引所で終日売買されます。投資信託とは異なり、ETFは空売りと信用買いが可能で、多くの場合は付随するオプションが存在します。

フィアット通貨……政府が法定通貨であると宣言した貨幣ですが、現物のコモディティで裏付けられていません。フィアット通貨の価値は、歴史的に、その材料として使用されている金や銀などの価値ではなく、需要と供給に連動しており、その国の信頼と信用のみに基づいて決まります。

国内総生産(GDP)……特定の期間に、その国で生産された財やサービスの総額を示す指標。一国の経済に関する健全性を示す重要な指標で、報道や政府によってしばしば引用されます。

インフレ……一定の期間での経済の財とサービスの価格における全般的な上昇で、通貨単位あたりの購買力の喪失につながります。インフレは多くの場合、通貨供給量が経済成長を上回るペースで増加するときに起こります。中央銀行は経済を円滑に運営するため、インフレの抑制やデフレの回避を目指します。

金のスポット価格……スポット市場における金の価格。国際的通貨コード「XAU」で表記される、1トロイオンス当たりの金価格。米ドル建て。

テールリスク、またはファットテールリスク……予期せぬ事象に起因するポートフォリオリスクの一種であり、株式市場の急落や、短期国債や金などの安全資産への資金逃避を引き起こす。2008年9月のリーマン・ブラザーズの破綻と、それに続く資産価格の急落は、テールリスク事象の好例と見なされている。テールリスクという名称は、それが正規分布曲線の「裾野の部分」で発生することからこのように呼ばれる。従来のポートフォリオ戦略では、市場リターンは正規分布に従うという考えに基づいて設計されている。テールリスク事象の定量化は主観的であるが、よく使われる定義の一つとしては、投資対象が中央値から3標準偏差以上離れる可能性が、正規分布が示す確率よりも高い場合にテールリスク事象が発生するとされる。

米国債……中央政府の債務であり、「政府証券」としても知られる国債は、一国の信用力と課税力に裏打ちされているため、債務不履行のリスクはほとんどないか、全くないとみなされています。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧