「資本金」と「利益剰余金」の違い
自己資本は「ポケットから出したお金」または「自分で稼いだお金」の蓄積です。前者は「資本〜」、後者は「利益〜」という名前がつきます。
【図表1】自己資本には、まぎらわしい名前がいっぱい
この自己資本、現在は〝純資産〟と呼ばれています。
「資本金」とは、会社を作った当時、あるいは会社を大きくするタイミングで、自分で出した、もしくは応援者(資本家)がポケットから出してくれたお金を指します。この応援者は、「お金を返してくれ」とは言いません。
“返済不要のお金”という意味で、他人資本とは違うのです。「資本剰余金」も資本金と似たようなものとお考えください。
【図表2】最近増えているM&A(会社売買)のポイントは自己資本
いっぽう、「利益剰余金」は会社を設立以降、会社が稼いだ利益の合計です。損益計算書でも利益は登場しましたが、それは、決算日を基準にした、たった1年間だけの成績でした。
損益計算書の当期純利益(税引後当期純利益)は、貸借対照表の利益剰余金にたまっていきます。つまり、利益剰余金を架け橋にして、貸借対照表と損益計算書はつながっている、といえるのです。
「利益剰余金」はまるまる現金では残っていない!?
貸借対照表は、過去からの継ぎ足しでできています。なので、利益剰余金とは、創業から現在までに蓄積した利益、つまり頑張った努力の結晶といえるのです。
毎年利益を稼いでいる会社は、これがたくさんあります。
反対に業績が鳴かず飛ばずなら、利益剰余金はほとんどありません。赤字が続けば、これはマイナスになります。
剰余金という名前をみると、「会社に金が余っている!」と勘違いする方がいます。しかし、この剰余金は、その金額がまるまる会社に残っているわけではありません。
個人でお考えください。いままで稼いだ給料はそのまま現金で残していますか?自動車、自宅、洋服などに使われて、消えているはずです。
つまり、利益剰余金は姿を変えて、現金では残っていないということなのです。どうか、このことをご理解ください。
【図表3】利益と利益剰余金と現金の関係を確認しよう