(※写真はイメージです/PIXTA)

4年に1度のサッカーの祭典、ワールドカップ。世界中のファンが熱狂し、優勝国には栄誉と名声が与えられる。しかし、その舞台裏で巨額の資金を動かしているのは優勝国でも開催国でもない。大会を主催するFIFA(国際サッカー連盟)だ。FIFAは2023年から2026年までの4年間で、総収入として130億ドル(約1兆9,000億円)を見込んでいる。前回ワールドカップまでの4年間の実績約76億ドルから大幅に拡大する見通しで、ワールドカップは今や世界最大級のスポーツビジネスへと成長している。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

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FIFAは「スポーツ団体」を超えた巨大組織

FIFAは1904年に設立されたサッカーの国際統括団体だ。加盟協会は211を数え、世界のほぼすべての国・地域を網羅している。

 

その活動の中心にあるのがワールドカップだ。FIFAが公表した2024年版年次報告書によると、2023年から2026年までの4年間で見込む総収入は130億ドル。これは日本円で約1兆9,000億円に相当する。前回大会までの4年間の収入実績は約76億ドルだったため、約71%の増加となる。

 

さらに2026年単年だけでも89億ドル(約1兆3,000億円)の収入を計画している。スポーツ団体と聞くと非営利組織をイメージする人も多いだろう。しかし、収入規模だけを見れば、大企業に匹敵する巨大組織と言える。

FIFA最大の商品は「サッカー」ではなく「視聴時間」

では、FIFAは何によって収益を上げているのだろうか。

 

2023-2026年サイクル予算によると、最大の収益源は放映権収入だ。世界各国のテレビ局や動画配信事業者は、ワールドカップを中継する権利を得るために巨額の契約を結んでいる。

 

2023年-2026年サイクル予算の内訳を見ると、その巨大なビジネス構造がより鮮明に見えてくる。

 

放映権収入:約42.6億ドル

チケット・ホスピタリティ収入:約30.9億ドル

スポンサー契約などのマーケティング収入:約26.9億ドル

ゲームやグッズなどのライセンシング収入:約13.0億ドル

 

当初、FIFAは4年間の総収入を上記のように113.4億ドルと試算していたが、大会規模の拡大や商業的成功を見込み、130億ドル(約1兆9,000億円)へと大幅に上方修正した。その内訳を見ても、テレビや配信の「放映権」が最大の柱であることに変わりはない。世界中の視聴者が同じ試合を見るという希少性が、莫大な広告価値を生み出している。

 

FIFA最大の商品はボールでもスタジアムでもないと言っていいかもしれない。世界中の人々が同じ時間に同じ試合を見る「視聴時間」そのものが最大の商品と言えるだろう。

2026年大会はなぜこれほど儲かるのか

2026年大会はアメリカ、カナダ、メキシコによる史上初の3カ国共催で開催される。そして最大の特徴は大会規模の拡大だ。

 

出場国は従来の32カ国から48カ国へ増加し、試合数も64試合から104試合へ増える。試合数が増えれば放映権の価値が高まる。スポンサー企業の露出も増える。販売できるチケット数も増える。

 

つまり大会規模の拡大が、そのままFIFAの収益拡大につながっている。実際にFIFAは2026年大会だけで数十億ドル規模の追加収入を見込んでいる。

開催国は本当に儲かるのか

ワールドカップの開催が決まると、経済効果が大きく報じられる。海外からの観光客が訪れ、ホテルや飲食店、交通機関の利用が増えるためだ。

 

しかし、開催国が必ず利益を得られるとは限らない。スタジアム建設や改修には莫大な費用がかかる。警備体制の強化や交通インフラの整備も必要になる。

 

2014年ブラジル大会では、建設費を投じたスタジアムの活用が課題となった。ブラジル北部マナウスのアマゾニア競技場は大会後の利用頻度が低く、「ホワイトエレファント(白い象)」の象徴例として取り上げられた。

 

ワールドカップは経済効果をもたらす一方で、開催国には大きな投資リスクも伴うのである。

FIFAは税金を払っているのか

これほどの収入を得るFIFAだが、本部はスイス・チューリヒに置かれ、非営利団体として運営されている。

 

もちろん税負担がまったくないわけではない。しかし株式会社のように利益を株主へ分配する組織ではなく、得られた資金をサッカー界へ再投資することを目的としている。

 

FIFAによると、2023年から2026年までの4年間で約129億ドルを支出し、そのうち116億ドル以上を加盟協会支援やサッカー普及事業などに充てる計画だという。

 

一方で、ワールドカップ開催契約では、FIFAや関連事業者に一定の税制上の優遇措置が認められる場合がある。そのため、大会誘致と税負担の公平性を巡る議論はこれまでも繰り返されてきた。

スポーツは国家を超えるビジネスになった

かつてワールドカップは国威発揚や国際交流の意味合いが強い大会だった。

 

しかし現在は違うと言えるだろう。世界中の放送局が放映権を争い、多国籍企業がスポンサー契約を結び、数十億人規模の視聴者にリーチする巨大コンテンツへと進化した。

 

参加国が増えれば市場も広がる。試合数が増えれば収益も増える。FIFAはその中心に立ち、世界中の熱狂を巨大な経済圏へと変えている。

 

ワールドカップを「スポーツイベント」と見るか、「世界最大級のビジネスイベント」と見るか。視点を変えるだけで、この大会の姿はまったく違って見えてくる。

 

 

出典・参考資料

FIFA Annual Report 2024(FIFA公式年次報告書)
FIFA Revised Budget 2023-2026(2023~2026年予算改定資料)
FIFA Annual Report 2022 Budget Overview

The Guardian「The $13bn World Cup」
※為替換算は1ドル=145円で計算。

 

 

THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班

 

 

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