AI時代だからこそ価値が高まる「生の声(一次情報)」
AIの普及が進むなかで、「一次情報は今後も価値を持ち続けるのか」と疑問に思う
方もいるかもしれません。ここで、その問いに答えるための簡単な思考実験を提案しま
す。
まず、すでに取引のある、自身がよく理解している業界や企業について、ファイブ
フォース分析に沿ってAIで分析してみてください。
業界構造やトレンド、顧客課題を生成AIで整理すると、その精度に驚くはずです。しかし同時に、「やや表層的だ」「この業界が本当に直面している課題は別にある」「自
分なら違う説明をする」といった違和感も覚えるのではないでしょうか。その違和感を
持てるかどうかこそが、一次情報の有無による差なのです。
あるいは、自身が担当している業務プロセスを、生成AIにできるだけ具体的に説明
させてみてください。
出力される内容は一定の水準に達しているものの、どこか抽象的であったり、自身の肌感覚とずれていたり、時に誤りを含んでいたりするはずです。同様に、AIを使って顧客の現場課題を理解しようとしても、一次情報を持つ当事者から見れば、どこか本質を外していると感じられる可能性があります。
誤解のないように強調しておくと、二次情報の活用も、AIによる調査の効率化も、いずれも重要です。ただし、一次情報と二次情報に異なる価値があるように、経験から得られる知見と、生成が導き出す知見にもそれぞれ固有の役割があります。一次情報のすべてが言語化できるわけではありません。現場で体験したからこそ得られる感覚や暗黙知は、AIだけでは再現できない部分があります。
汎用的なAIという「誰もが持てる武器」に、社内に蓄積された独自データを組み合
わせることで初めて差別化が生まれると述べました。同様に、二次情報を得意とする
AIの力に、一次情報を重ね合わせることで、深いターゲット理解に基づく意思決定が
可能になるのです。
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