自動車を購入・維持する際にかかる「3つの税金」
「ハイブリッド車に買い替えた場合にどれだけ税金が得になるのか?」を計算する前に、自動車を購入・維持するのにどのような税金がどのくらい課せられているのかを見ておかないといけません。
自動車の購入・維持にはさまざまな税金が複雑にかかっています。しかも、本書執筆時点の2016年9月では、2019年10月からの導入が予定されている消費税率10%への引き上げに前後して、この自動車に関する税金の仕組みもさまざまに改正される予定です。
全ての税金をトータルに考えておかないと、自動車にかかる本当のコストを計画することができません。では、まず自動車の購入・維持に関わる税金について整理してみましょう。
自動車関連の税金は大きく分けて3つ。「自動車取得税」、「自動車税・軽自動車税」、そして「自動車重量税」です。
●自動車取得税・・・
三輪以上の特殊自動車を除く、普通自動車、軽自動車、小型自動車を取得したときの価格が50万円を超えた場合、その自動車を取得した人に対して課される税金。
●自動車税・軽自動車税・・・
登録された自動車に対し、その自動車の主たる定置場が所在する都道府県(軽自動車税は市町村)において、毎年4月1日時点でその所有者に課される税金。
●自動車重量税・・・
自動車検査証の交付などを受ける人、あるいは車両番号の指定を受ける人が、自動車を新規登録または新規届出したときや、継続検査や構造などの変更検査を受け、車検証または届出済証の交付を受ける際に納付する税金。
つまり、自動車を購入した際には「自動車取得税」が発生し、自動車を維持していくにあたって「自動車税・軽自動車税」と「自動車重量税」が発生するということです。たくさんの税金を支払わなくては、自動車を購入・維持するのは難しいようですね。
「自動車取得税」は10%の消費増税に合わせて廃止
この複雑な税金の仕組みをまずは「自動車取得税」から見ていくことにしましょう。
「自動車取得税」とは先ほど簡単に説明したとおり、取得価格が50万円を超える自動車を購入したときにかかる税金です。
一般的には自動車を販売する業者が、購入者から徴収して納付する形式を取っているので、購入時の見積書に登場します。自分でわざわざ支払いに行くわけでもなく、しかも購入時にしか登場しない税金ですから、あまり馴染みがないのも無理はありません。
「自動車取得税」の計算式は以下です。
取得価格(1000円未満切り捨て)×税率=税額(100円未満切り捨て)
消費税と考え方はそれほど変わりませんよね。取得金額に税率をかければいいわけです。
では、その税率はといえば、自家用自動車が原則3%、営業用自動車・軽自動車が2%になります。かなりの税率ですよね。300万円の自家用普通車だったら9万円です。このような税金が自動車購入時にかかっていると知り、驚いた人もいるのではないでしょうか。
しかし、この「自動車取得税」は、消費増税に合わせてその制度が大きく変わります。消費税が10%に引き上げられた時点で「廃止」されることが決まっているのです。
つまり、単純に考えると、自家用自動車であれば、消費税率が8%から10%に上がる際に2%分が増税されますが、「自動車取得税」の3%分が減税されるということです。これだけ見れば、あきらかに消費税率が10%に引き上げられたあとに買い替えたほうが得になります。果たして本当でしょうか?(次回に続く)