エコカーであれば、燃費基準により減税される
消費税率の10%への増税後、自動車取得税が廃止されます。自動車取得税は、もともと「消費税との二重課税ではないのか?」という非難も多かった税金ですから、必然なのかしれません。
しかし、この廃止によって本当に消費増税後のほうが得になるのかというと、そう単純ではありません。
その理由のひとつとして、3%(自家用自動車の場合)の自動車取得税がまともにかかっている自動車はそれほど多くないという点が挙げられます。それは、「エコカー減税」という制度があるからです。
エコカー減税とは、国土交通省が定める排出ガスと燃費の基準値をクリアした、環境性能に優れたクルマ(エコカー)に対する税金の優遇制度です。
対象となる新車を購入した場合にかかる「自動車取得税」と、新車新規検査の際に納付する「自動車重量税」に適用されます。ハイブリッド車はこのエコカーに含まれます。それ以外にも、「グリーン化特例」という翌年度の「自動車税・軽自動車」が減税される制度もあります。
なんだか少しわかりにくくなりましたが、話を自動車取得税に限定すれば、「エコカーであれば、その燃費基準により減税されている」ということになります。
自動車取得税が廃止になっても、得ではないケースも
その基準と減税の割合をまとめたものが以下の図表1です。たとえば、図表1にある「60%減税」というのは、自動車取得税の3%(自家用自動車の場合)に対する60%減税なので、自動車取得税は「1.2%」となります。
[図表1]エコカー減税の基準と割合
つまり、消費税が10%に引き上げられたと同時に自動車取得税が廃止になったとしても、このケースでは得にならないという計算になってしまいます。
しかも、自動車取得税の廃止に代わり、各車種の環境性能ごとに課税する新しい税金の導入が決まっているので、結局は自動車購入時になんらかの税金が課税されることになります。
それをまとめたものが以下の図表2です。なお、これは2017年4月に消費税率10%が導入されることを前提としたものです。ただ、消費税率10%引き上げが延期されたとはいえ、今後実施された際には同様になると考えられます。
[図表2]自動車取得税の廃止に伴う新税の仕組み
図表2を見るとわかるように、自動車取得税から新税に切り替わった場合、最大でも0.6%の減税にしかなりません。
この部分だけで考えれば、消費増税によって得にはなりません。それどころか、選ぶ車種によっては、新税のほうが増税になるケースもあるので、消費税とダブルで増税になってしまうのです。
この話は次回に続きます。