本連載は、ファイナンシャルプランナーとして年間100名以上の家計相談をこなす岡崎充輝氏の著書、『気を抜くと誰もが貧乏になる時代の「お金」の基礎力』(三才ブックス)の中から一部を抜粋し、お得な自動車の買い方を見ていきましょう。

燃費のよさと税金の安さは大きな魅力だが・・・

「自動車」との付き合いは、家計のやり繰りに非常に重大な影響を及ぼします。購入時の初期費用だけでなく、ガソリン代や車検代、駐車場などの維持費も当然かかってくるからです。

 

とくに生活する上で自動車が必須な人にとって、自動車の買い替えは数年に一度必ずやってくる大きなイベントです。ですから、「大きな買い物なのだから、次に買い替えるときには、できるだけ得なハイブリッド車かな?」と考える人も多いのではないでしょうか?

 

ハイブリッド車の燃費の数字だけを見ると、普通のクルマを買うよりもかなり得な印象を受けます。しかし、本当に「ハイブリッド車はお買い得」なのでしょうか?

 

家計の点から考えたハイブリッド車の魅力は、なんといっても「燃費」のよさと「税金」の安さです。もちろん、メリットばかりではありません。デメリットもあります。それは「自動車本体の価格が高い」という点です。

「21万km以上」走行して初めて得になる!?

では、「購入価格以上のメリットがあるのか?」を検証してみましょう。トヨタの「シエンタ」というクルマを例に比較してみようと思います。ハイブリッドとハイブリッドではない2タイプのグレードがある人気のファミリー車です。

 

ハイブリッドは、メーカー希望小売価格が税込みで232万9855円、燃費が27.2㎞/ℓ。ハイブリッドでないほうは、メーカー希望小売価格が税込みで198万327円、燃費が20.2㎞/ℓです。ハイブリッドとそうではないグレードの金額差はおおよそ35万円、燃費の差は7㎞/ℓとなります(ハイブリッドでないグレードは「G」という型の車種を参照にしています)。

 

ただ、この燃費は皆さんもご存知のとおり、あくまでもカタログ値であり、実際はこんな燃費にはなりません。実際の燃費はどうでしょうか?

 

そこで「e燃費」(http://e-nenpi.com/)というインターネットサイトで調べてみました。このサイトは実際に自動車を購入して乗っているオーナーさんたちが、自分のクルマの燃費を投稿しているサイトです。もちろんそれぞれの乗り方によって燃費は大きく変わりますが、その平均を見れば各車種の実際の燃費として参考にすることができます。

 

なお、日々情報が更新されていくため、平均値なども調べた日にちによって変動する可能性があります。そのため、ここからは、本書執筆時の数値を基に考えてみます。

 

このサイトでシエンタの実燃費を見てみると、ハイブリッドグレードが「17.51㎞/ℓ」、ハイブリッドではないグレード(「G」という型)が「13.84㎞/ℓ」。燃費差は「3.67㎞/ℓ」ということがわかります。

 

レギュラーガソリンの価格が1ℓあたり108円だとすると、ハイブリッドグレードは1㎞あたり6.17円、そうでないグレードは1㎞あたり7.8円です。1㎞あたり1.63円、ハイブリッドグレードのほうが得ということになります。

 

購入時の差額35万円を1.63円で割ると、21万4724㎞。つまり、燃費だけを考えると、21万㎞以上走行して初めて得になる計算になるのです。

 

どうですか? 1台のクルマを21万㎞以上も乗りますか? ほとんどの人は乗っても走行距離10万㎞前後ではないでしょうか? 燃費の点では、計算上ハイブリッド車が得だということにはならないのです。

 

もちろんハイブリッド車が得とされているのは、「燃費」だけではありません。「税金」面での優遇もあります。次回は、税金面でどれぐらい得になるのか計算してみましょう。

気を抜くと誰もが貧乏になる時代の 「お金」の基礎力

気を抜くと誰もが貧乏になる時代の 「お金」の基礎力

岡崎 充輝

三才ブックス

「給料は上がっているのになぜかお金が貯まらない」「贅沢も無駄遣いもしていないのになぜか暮らしが楽にならない」「老後の生活が不安」「生命保険が高すぎる」「家は買うべき?」「有利な住宅ローンは?」「クルマの買い替え…

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