ハイブリッド車でも数万円程度の節税にしかならない
消費税率10%が導入される前にハイブリッド車を購入することが本当に得なのかを検証するため、消費税率10%導入後の自動車に関する税金をシミュレートしてみます。
以下の図表1を見てください。ハイブリッド車は、自動車取得税・自動車重量税が免税、自動車税が75%減税となります。
[図表1]エコカー減税の基準と割合
一方、ハイブリッド車の比較対象として、図表1中の2020年度の「燃費基準達成車+10%」を例としてみます。エコカー減税の適用は、自動車取得税が80%減税、自動車重量税が75%減税となります。自動車税はハイブリッド車と同じ75%減税です。
これを連載第1回で例に挙げたトヨタの「シエンタ」で計算してみます。
「シエンタ」のハイブリッドではないグレード(「G」という型の車種を参照)のメーカー希望小売価格は、税込みで198万327円。同じく重量は1320㎏です。
ハイブリッドグレードは、自動車取得税・自動車重量税ともに免税なので計算する必要はありません。
<トヨタシエンタ(ハイブリッドではないグレード)の自動車取得税と自動車重量税>
[自動車取得税]
198万円×0.6%(本来の税率3%を80%減税)=1万1800円
※価格の1000円未満と税額の100円未満は切り捨て
[自動車重量税]
(新車登録時(3年分)3万6900円+初回継続車検(2年分)2万4600円)
×25%(75%減税)=1万5375円
「シエンタ」のハイブリッドではないグレードの自動車取得税と自動車重量税の合計は2万7175円でした。
自動車税は、ハイブリッドグレード、ハイブリッドではないグレードのどちらも75%減税なので、同じ税額です。つまり、ハイブリッドではないグレードのほうが、2万7175円だけ多く税金を支払うことになります。
逆にいうと、ハイブリッドグレードはそうでないグレードと比較しても3万円弱しか税金が安くなりません。
購入金額の差は約35万円だったので、税金として安くなる分の約3万円を考慮すると、差額は約32万円です。
「19万㎞以上」乗ればハイブリッド車のほうがお得に
連載第1回で例として挙げたように、ハイブリッドグレードの実燃費は17.51㎞/ℓ。レギュラーガソリンの価格を1あたり108円とすると、ハイブリッドグレードは1㎞あたり1.66円かかることになります。これを先ほどの差額32万円で計算してみます。
32万円÷1.66円=19万2771㎞
19万㎞以上乗るのであれば、ハイブリッドグレードのほうが得という計算になります。
19万㎞以上の走行距離というのはかなりのものです。これを考えると、消費税率10%引き上げまでにハイブリッド車を購入したほうがいいといいきれるでしょうか?
もちろん、この計算は簡易的なものです。これが全てではありませんが、一度はこのような考え方を参考にして計算してみることが必要です。
[図表2]トヨタシエンタの自動車重量税と自動車重量税