住宅内部の安全等に関心が薄い不動産業界
1995年頃、住宅業界に激震が走りました。「シックハウス症候群」が雑誌やテレビなどで盛んに取り上げられ、住宅における室内空気の汚染問題がクローズアップされました。汚染の原因となったのが揮発性のホルムアルデヒドなどの有害物質。今でも工業製品である新建材は、ホルマリンを原材料とした接着剤を多用するため、当たり前に含まれています。
「ホルムアルデヒドを含む新建材に囲まれた住宅をこのままにしていいのか」
社長の鈴木をはじめ、私たちは疑問を感じました。
通常、マンションを選ぶ判断基準は「駅からの距離(プレイス)」、「広さ(プラン)」、「価格(プライス)」の3要素(3P)といわれています。よってデベロッパーはこの3大要素を軸に商品企画を行い、そのほかの要素となる内装材は、できるだけ安く、当面のクレームには心配がなく、見栄えがよい製品で、新築マンションという狭い範囲で普通に使われている素材を選びます。
マンションはかなり高価な買い物です。建築物としての安全性や耐久性などは当然に求められます。しかし、残念ながら、業界全体の風潮としては住宅内部の安全や安心をつくることにいまだ関心は薄いようです。
住まいが原因で健康にも悪影響が・・・
風通しが悪く湿気でジメジメし、新建材から化学的な異臭がするようでは、不快なだけでなく健康にも悪影響があります。昼夜問わずエアコンをかけ続けなければならない住まいが健康にいいはずはないのです。
親が我が子に健康に育って欲しいとする願いは当然で、人にとって健康は大切なものです。ナイチンゲールが言うように生活の中心となる住まいが原因で病気になってしまっては、医療費がかかるという話だけでは片づけられる問題ではないのです。
この当時の鈴木の言葉は、いまエコヴィレッジで自然素材を使い、住宅内部の安全や安心を求めることが、建築物の安全性や耐久性を求めるのと同等に重要なのだ、という確信に変わる契機となったのです。