対象企業の規模拡大で利用できる企業が増加
QSBSの適用を受けるためには、発行会社側にも一定の要件があります。
その1つが総資産額要件です。改正前は、株式発行時点における総資産額が5,000万ドル以下であることが求められていました。
しかし改正後は、この上限が7,500万ドルへ引き上げられました。これにより、従来は制度の対象外だった比較的大規模なスタートアップ企業についてもQSBSを活用できる可能性が広がります。スタートアップ企業の成長スピードが加速するなかで、制度の適用対象を拡大することは、企業側の資金調達環境の改善にもつながると考えられます。
M&AやIPOによる売却でも活用できる
QSBSは単に長期間株式を保有した場合だけでなく、投資先企業がM&AやIPOによって成長を遂げた場合にも活用できる制度です。
スタートアップ投資では、上場や買収によるエグジットが大きな目標となります。QSBSは、その成功によって得られた利益に対する税負担を大幅に軽減する仕組みとして機能しています。
ただし、日本の居住者が米国のQSBSを利用する場合には注意が必要です。
米国で譲渡益が100%非課税となったとしても、日本では通常の株式譲渡益として課税される可能性があります。日米双方の税制を踏まえた検討が欠かせません。
日本のスタートアップ投資税制との違い
日本にもベンチャー企業への投資を支援する制度としてエンジェル税制があります。
しかし、その内容は主に所得控除や課税の繰り延べであり、米国のQSBSのように巨額のキャピタルゲインを非課税にする制度ではありません。
また、日本で株式譲渡益が非課税となる代表的な制度としてNISAがありますが、その対象は上場株式等に限定されています。
未上場のスタートアップ企業への投資を対象として、譲渡益を大幅に非課税とする制度は存在していないのが現状です。
