「お願いだから、もう来ないでくれ」…合鍵で入った息子の家、両手に抱えた食料で冷蔵庫を満たしていく…〈年金17万円〉60代母の“重すぎた愛”の行方【CFPの助言】

「お願いだから、もう来ないでくれ」…合鍵で入った息子の家、両手に抱えた食料で冷蔵庫を満たしていく…〈年金17万円〉60代母の“重すぎた愛”の行方【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもが独立した後も、「ちゃんと食事をしているだろうか」「困っていることはないだろうか」と心配が尽きず、つい手を差し伸べてしまう親は少なくありません。ですが、行き過ぎた心配や善意が、ときには親子関係に思わぬ亀裂を生じさせることもあります。今回は、トータルマネーコンサルタント・CFPの新井智美氏が、限られた年金収入の中でも息子への援助をやめられなかった女性の事例をもとに、子離れの難しさや老後資金への影響、親子の適切な距離感について解説します。

息子から突きつけられた言葉

転機は、健太さんが結婚を考える相手を紹介したときでした。

 

それ以降、由美子さんはより頻繁に息子に連絡するようになります。休日に突然訪ねたり、部屋の様子を確認したりすることもありました。それは、「息子に、自分よりも大切にすべき相手ができた」という不安からだったのかもしれません。

 

そしてある日、健太さんは静かに言いました。

 

「監視されているみたいで限界なんだ」
「お願いだから、もう勝手に家へ来ないでほしい」
「仕送りもいらないし、合鍵も返してほしい」

 

由美子さんは大きなショックを受けました。自分は息子を支えていたつもりだったからです。しかし健太さんにとっては、支援よりも干渉のほうが大きな負担になっていたのでした。

“親役を降りる”ことも老後の課題

子どもが成人し、経済的にも自立しているのであれば、親の役割は「支える人」から「見守る人」へ変わっていきます。困ったときに相談に乗ることは大切ですが、頼まれていない援助や過度な介入は、親子関係を悪化させる原因になりかねません。

 

特に老後は、自分自身の生活を守ることのほうが重要です。厚生労働省「2024(令和6)年国民生活基礎調査」によると、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち、公的年金が総所得の80%以上を占める世帯は約58%となっています。

 

多くの高齢者にとって年金は生活の中心的な収入源であり、過度な援助は将来の生活資金不足につながる可能性があります。

 

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