「お願いだから、もう来ないでくれ」…合鍵で入った息子の家、両手に抱えた食料で冷蔵庫を満たしていく…〈年金17万円〉60代母の“重すぎた愛”の行方【CFPの助言】

「お願いだから、もう来ないでくれ」…合鍵で入った息子の家、両手に抱えた食料で冷蔵庫を満たしていく…〈年金17万円〉60代母の“重すぎた愛”の行方【CFPの助言】
(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもが独立した後も、「ちゃんと食事をしているだろうか」「困っていることはないだろうか」と心配が尽きず、つい手を差し伸べてしまう親は少なくありません。ですが、行き過ぎた心配や善意が、ときには親子関係に思わぬ亀裂を生じさせることもあります。今回は、トータルマネーコンサルタント・CFPの新井智美氏が、限られた年金収入の中でも息子への援助をやめられなかった女性の事例をもとに、子離れの難しさや老後資金への影響、親子の適切な距離感について解説します。

年間60万円超…老後資金を切り崩しながらの援助

由美子さんの支援はそれだけではありませんでした。

 

「急な出費があるかもしれない」「物価も上がっているし大変だろう」と考え、毎月3万円を健太さんの口座へ振り込んでいました。

 

食材代約2万円と合わせると月5万円。年間では60万円を超えます。しかし健太さんは、経済的に困っていたわけではありません。年収は550万円ほどあり、ひとり暮らしの生活費は十分に賄えていました。

 

一方、由美子さんは年金暮らしです。家賃こそありませんが、年金で足りない分は自分の老後資金を取り崩している状態。預貯金は65歳時点で1,200万円ありましたが、3年間で約1,000万円を割り込む程度まで減少していました。

 

それでも由美子さんは、「息子のためだから」と考え、援助をやめようとは思いませんでした。

「思いやり」ではなく「監視」…強まる違和感

実は、“息子のための援助”にこだわる背景には、別の感情がありました。夫を亡くして以降、ひとりで過ごす時間が増えた由美子さん。息子の世話をすることが生きがいになっていたのです。

 

「この子に頼られるうちは、自分には存在価値がある」

 

そんな思いが少しずつ強くなっていました。

 

しかし、健太さんの受け止め方は違いました。最初はありがたいと思っていたものの、次第に窮屈さを感じるようになります。

 

冷蔵庫の中身を把握され、生活リズムを気にされ、頼んでもいない援助が続く。「母の親切」が、いつしか「監視」のように感じられるようになっていました。

 

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