年間60万円超…老後資金を切り崩しながらの援助
由美子さんの支援はそれだけではありませんでした。
「急な出費があるかもしれない」「物価も上がっているし大変だろう」と考え、毎月3万円を健太さんの口座へ振り込んでいました。
食材代約2万円と合わせると月5万円。年間では60万円を超えます。しかし健太さんは、経済的に困っていたわけではありません。年収は550万円ほどあり、ひとり暮らしの生活費は十分に賄えていました。
一方、由美子さんは年金暮らしです。家賃こそありませんが、年金で足りない分は自分の老後資金を取り崩している状態。預貯金は65歳時点で1,200万円ありましたが、3年間で約1,000万円を割り込む程度まで減少していました。
それでも由美子さんは、「息子のためだから」と考え、援助をやめようとは思いませんでした。
「思いやり」ではなく「監視」…強まる違和感
実は、“息子のための援助”にこだわる背景には、別の感情がありました。夫を亡くして以降、ひとりで過ごす時間が増えた由美子さん。息子の世話をすることが生きがいになっていたのです。
「この子に頼られるうちは、自分には存在価値がある」
そんな思いが少しずつ強くなっていました。
しかし、健太さんの受け止め方は違いました。最初はありがたいと思っていたものの、次第に窮屈さを感じるようになります。
冷蔵庫の中身を把握され、生活リズムを気にされ、頼んでもいない援助が続く。「母の親切」が、いつしか「監視」のように感じられるようになっていました。

