(※写真はイメージです/PIXTA)

国税庁が5月29日に公表した「令和7年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」によると、所得税の納税人員は627万6,000人となり、前年から21.3%増加した。申告納税額も4兆6,897億円に達している。背景には、令和6年分で実施された「定額減税」の終了がある。また、土地等譲渡所得は平成15年分以降で最高水準となっており、不動産価格の上昇が個人の所得や税負担に影響を与えていることがうかがえる。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。

金価格の高騰と売却益への影響(推測を含む)

世界的なインフレ懸念や地政学リスクの高まりを背景に、金価格は歴史的な高値圏で推移している。日本国内でも円安の影響が加わり、金地金の価格は大幅に上昇した。

 

ただし、今回の国税庁統計には金地金に関する詳細な数字は公表されていない。そのため、金価格の上昇が確定申告統計の所得増加にどの程度寄与したかについては、現時点では不明であり、断定できない。

 

一般論として、金地金の売却益は譲渡所得として課税対象となる。価格上昇局面で売却した場合、想定を上回る税負担が生じる可能性があることは念頭に置いておく必要があるだろう。

株高でも確定申告統計に表れにくい理由

上場株式等に係る譲渡所得金額も増加しており、株高の影響は一定程度反映されている。ただし、株式市場全体の活況ほど大きく見えないのには構造的な理由がある。

 

NISA口座で得た利益は非課税であり確定申告不要だ。また、特定口座(源泉徴収あり)を利用している場合は、証券会社が源泉徴収・納税まで行うため、多くの投資家は確定申告をしない。そのため、株価上昇による利益が確定申告統計にそのまま反映されるわけではない。

 

不動産や(金地金の)売却益が比較的確定申告統計に反映されやすい構造にあるのに対し、株式投資による利益の多くは統計に現れにくい。この違いは、制度設計の違いによるものであり、資産ごとの「見えやすさ」の差として理解しておくことが重要だ。

税務統計が映し出す資産市場の変化

今回公表された令和7年分の確定申告統計で最も注目されたのは、納税人員が前年比21.3%増加したことだった。その主な要因は前述した通り、定額減税の終了であり、税額の伸びが比較的穏やかだったことからもその解釈は妥当と考えられる。

 

加えて、土地等譲渡所得が平成15年以降の最高水準に達したことは、不動産価格の上昇が個人の所得・税負担にも影響を及ぼしていることを示す統計上の事実だ。地価上昇は保有者にとって資産価値向上という恩恵をもたらす一方、売却時には相応の税負担を伴う点も忘れてはならないだろう。

 

※ 数値は国税庁「令和7年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について」に基づく。

 

 

THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班

 

 

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