(※写真はイメージです/PIXTA)

企業の価値を創造するのは経営者であり、その経営者を評価・選別するのが投資家です。しかし、「短期的な利益を追う投資家に会社の経営を正しく評価できるわけがない」と考える経営者も存在します。このような意見があるなかで、なぜ投資家が会社を評価・選別する仕組みが重視されるのでしょうか。社会に価値を生む会社を選ぶために、どのような仕組みを整えればよいのかを解説します。本記事では、森生明氏の著書『会社の値段[新版]』(筑摩書房)より一部を抜粋・編集してお届けします。

株主至上主義は、本当に価値のある会社や経営者を選別する役割を果たす

民主主義社会において政治家を選ぶのはカネだ地盤だといってもやはり国民一人ひとりの投票なのと同様に、現代社会においては、全ての国民が株主投資家になれます。

 

機関投資家という、一般庶民に代わって経営を監視し経営者の選択に影響力を持つ存在は日本にも育ちつつあります。すべての国民が参加できる株式市場を健全に発達させることにより、株主至上主義は、本当の意味で社会に対して価値を生む会社や、そのような経営をできる人物を選別淘汰する役割を果たすことができるようになります。

 

国債や銀行預金のような手堅い運用資金が結局無駄の多い公共投資や天下り法人の経費に流れてしまうのに憤りを感じるのであれば、むしろ企業経営者を評価し選ぶ活動に参加して、企業価値を創造する投資家の側に自ら回ったほうが、より良い国づくりに参加できるかもしれません。

 

より多くの国民が、より真剣に株式投資に取り組むことによって、市場は厚みが増します。そうなると、マネーゲーム的投機家がアブク銭を儲ける機会は減り、実態を伴わない数字づら合わせやウケ狙いをして株価を釣り上げようとする経営者を淘汰していくことも可能になるでしょう。

 

「企業価値とはすべてのステークホルダーにとっての価値だ」という曖昧になりがちな基準ではなく、将来キャッシュフローという基準を用い、その算定を正しく行う投資家層を育てることが、この国の資本主義社会を健全に進化させるための重要なカギとなります。

 

 

森生 明

グロービス経営大学院

講師

 

 

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※本連載は、森生明氏の著書『会社の値段[新版]』(筑摩書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

会社の値段[新版]

会社の値段[新版]

森生 明

筑摩書房

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