(※写真はイメージです/PIXTA)

ファイナンスの中でも、多くの人が難解だと感じがちなのが「会社の値段(企業価値)」の算定方法です。一見すると複雑な数式が並ぶ世界ですが、その本質は「将来どれだけのカネを生み出すか」という原則に集約されます。今回は、会社を「金の卵を産むガチョウ」に例えたユニークな視点から、利回りが価格に与える影響の本質を解き明かし、ビジネスに必要なファイナンス思考の基礎を提示します。

会社を「一羽のガチョウ」に例えると、値段のつけ方が見えてくる

米国的といわれる合理的思考の代表格は、ビジネススクールで教わることでしょう。その中でファイナンスといわれる分野が、会社の値段を算定する方法について学ぶ科目です。

 

ここではその一部をつまみ食いの形で解説します。簡単な公式ですが、なぜそうなるのかをそもそも論から理解すれば、会社の値段の算定の仕方をマスターしたも同然です。若干の数式がでてきますが、煙たがらずにここだけはなんとか乗り切ってください。

 

まずは、会社を、毎日ひとつ卵を産む一羽のガチョウにたとえて考えてみましょう。このガチョウを売ってほしいという人が現れたら、どうやって「適正な」値段をつければ良いでしょうか。羽がきれいなので飼って眺めていたい人にとっての値段、殺して肉を食べたい人にとっての値段、いろいろな視点があります。

 

しかしせっかく卵を産むわけですから、その価値を評価しない値段で売ってしまうのはあなたにとって損な取引です。

 

このガチョウが、死ぬまでの間に100個の卵を産むとしたら、少なくともこのガチョウは町で売っている卵100個分の値段と同じ(えさ代などを差し引いてですが)になるはずです。もし、あなたのガチョウが産む卵が金の卵だとしたら、もはやそのガチョウは巨大な金の塊と同じ価値になります。

 

ただし、いつまで金の卵を産み続けるのか、いつ病気や事故で死んでしまうかはわかりませんから、正確な値段をつけようがない、というのもこれまた真実です。腹を切って何個の卵を産めるか確かめようとしたら、全てを失います。

 

金の卵を産むという価値を持っているガチョウとなれば、もはや見た目が可愛いとか、肉に脂がのっていてローストしたらうまそうだとかいう価値は、どうでもよくなります。ガチョウの値段は、ひとえにその産み出す金の量によって決まるのです。

 

会社というのは、金の卵を産むガチョウと同じとイメージしていただくとわかりやすいかと思います。のみならず、会社は生身の生き物ではありませんから、きちんとメンテナンス(経営)をすれば、永遠に毎年利益を生み続けることのできるスーパーガチョウです。

 

永遠に毎年生み出す利益(キャッシュ)の合計額がこの会社の値段となる、これが企業価値算定の基本です。

 

 

次ページ「金の卵」理論は、あらゆる資産に通ずる

※本連載は、森生明氏の著書『会社の値段[新版]』(筑摩書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

会社の値段[新版]

会社の値段[新版]

森生 明

筑摩書房

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