(※写真はイメージです/PIXTA)

ファイナンスの中でも、多くの人が難解だと感じがちなのが「会社の値段(企業価値)」の算定方法です。一見すると複雑な数式が並ぶ世界ですが、その本質は「将来どれだけのカネを生み出すか」という原則に集約されます。今回は、会社を「金の卵を産むガチョウ」に例えたユニークな視点から、利回りが価格に与える影響の本質を解き明かし、ビジネスに必要なファイナンス思考の基礎を提示します。

永久国債の値づけを例に、具体的な国債の値段を算出してみよう

将来にどれだけのカネを生み出すかによって値段が決まる、これは、会社の値段のみならずどんな投資商品についても同じです。

 

預金や債券のように毎年利息を生む投資商品も、毎月賃料収入が得られるマンション投資も、不動産バブルの崩壊を経て日本の土地の値段のつけかたにおいてもこの考え方が主流となりました。これが収益還元法とかDCF法(Discounted Cash Flow、キャッシュフロー還元法)と呼ばれている評価方法です。

 

具体的な算定方法の出発点として、永久国債(償還期限のない債券)の値づけを考えてみます。

 

「毎年確実に1万円ずつ利息を払い続けます、期限はなく永遠に子孫末裔の代まで払います」

 

このような国債が発行されたら、あなたはいくら払ってこの国債を買おうと思いますか? この質問は言い換えると、あなたはこの投資でどれほどの利回りが欲しいですか? と同じです。

 

「銀行に預金しても0.5%も利息がつかないのだから、1%あれば十分」という答えであれば、この国債の値段は100万円となります。

 

なぜならば、これは、1%の利率で毎年1万円の利息金を生んでくれるような元本はいくらか、という質問と同じ、したがって、

 

元本×1%(0.01)=1万円

元本=1万円/0.01=100万円

 

だからですね。

 

「いやいや、国の借金は莫大になっていてこのままでは借金返済の目途がたたないから、南米やギリシャのような国債大暴落が起こって貨幣価値が下がる、つまりインフレになるぞ。だから俺は、10%の利回りでなければこの国債は買えない」と考える人もいるでしょう。

 

その人にとっては、同じ国債の値段が、

 

1万円/10%(0.1)=10万円

 

と10分の1になります。

 

このように、投資家が要求する利回りによって、投資商品の値段は違ってきます。米国でも日本でも「金利上昇により地方銀行が保有する国債の含み損が巨額になっている」という記事を見たことがあるかと思いますが、このコメントは投資商品の値づけルール原則に基づいたものです。

 

 

森生 明

グロービス経営大学院

講師

 

 

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※本連載は、森生明氏の著書『会社の値段[新版]』(筑摩書房)より一部を抜粋・再編集したものです。

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森生 明

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