(※写真はイメージです/PIXTA)

老後の生活設計を考えるうえで、公的年金は大きな柱です。長く会社員として働いてきた人ほど、「厚生年金があるから何とかなる」と考えがちです。しかし、実際に通知書で年金額を確認したとき、現役時代の収入との落差に驚く人も少なくありません。

「年金だけでは足りない」夫婦が始めた老後の立て直し

妻の洋子さんは、冷静に家計を見直しました。まず外食を減らし、車の買い替えを延期。旅行も当面は近場に限ることにします。

 

雅人さんは最初、反発しました。

 

「退職したら少しくらい楽しめると思っていたのに」

 

しかし、家計表を見ると、現実は明らかでした。

 

総務省『家計調査(2025年)』によると、65歳以上の夫婦のみ無職世帯では、可処分所得が月22万1,544円、消費支出が月26万3,979円となっており、平均では毎月赤字です。

 

雅人さん夫婦の場合、妻の年金受給が始まるまでは、さらに慎重な家計運営が必要でした。

 

「年金だけで暮らす」という言葉は簡単です。しかし実際には、税金や社会保険料、医療費、家の修繕費、物価上昇も考える必要があります。年金額が平均的であっても、それだけで安心とは限りません。

 

雅人さんは、再び短時間の仕事を探し始めました。

 

選んだのは、週3日ほどの施設管理の仕事です。収入は大きくありませんが、毎月数万円でも家計の支えになります。

 

「完全に引退するつもりでした。でも、少し働くことで気持ちも楽になりました」

 

現在、夫婦は年金と貯蓄、短時間勤務の収入を組み合わせて生活しています。

 

38年働いたことは、決して無駄ではありません。しかし、長年働き続けたことと、老後の安心は必ずしも一致するわけではありません。

 

老後の生活は、年金額だけで決まるものでもありません。住まいや家族構成、健康状態、そしてどのような暮らしを望むのかによって、必要なお金は大きく変わります。だからこそ、現役時代から老後の収支を具体的に見据え、早めに備えていくことが重要なのかもしれません。

 

 

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