漠然とした不安をなくすには…家計を整理するための「3ステップ」
Kさんの現在の支出は、以下のような状況でした。
趣味(山・釣り):約3万円
医療・予備費 :約2万円
合計 :約17万円
数字だけ見ると、堅実で大きな問題はありません。ただ、Kさん自身は「趣味にお金を使っていいのか」「旅行の回数を増やしていいのか」「新たな学びや挑戦にお金を使うべきか」が判断できなくなっていました。
このような場合、極端な節約や無計画な散財に走るのではなく、以下のステップで家計を整理していくことが解決の糸口になります。
1. 「予算化」で漠然とした不安を消す
将来必要になりそうなお金を、あらかじめ整理して見える化します。「将来の介護費用」「高齢期の住まい(または賃貸の継続費用)」「医療の予備費」「車を手放したあとの移動費」などを概算で予算化するのです。
漠然と不安だったものが「管理できる支出」に変わることで、「これだけ使っても大丈夫」という基準が生まれます。人生後半では、資産額そのものより“将来の支出が見えているか”のほうが安心感につながります。
2. 「削る」のではなく「残す」支出を決める
「何を削るか」ではなく「何を残したいか」を整理します。Kさんにとっての山登りや釣りは、単なる趣味ではなく“人生後半を自分らしく生きるための支出”です。これらは人生の満足度に直結するため、しっかり予算を割くべき項目です。一方で、なんとなく続けている固定費や使っていないサービスは優先順位を下げます。
3. 「支出の役割」をわける
支出を以下の3つに分類することで、お金はさらに整理しやすくなります。
- 維持する支出(生活費・住居費・医療費など、生活基盤を守るお金)
- 備える支出(介護・終の棲家など、将来に備えるお金)
- 豊かにする支出(趣味・旅行・学び・人との交流など、人生を豊かにするお金)
このように役割をわけることで、「これは使っていいお金なのか?」と迷うことなく、「何のための支出なのか」で判断できるようになります。
老後を豊かに過ごすには「貯める力」より「使う力」が必要
現役時代は「増やす」「備える」ことが重要でした。しかし人生後半では、「何に使うか」「どこに備えるか」「何を残すか」によって、暮らしの満足度は大きく変わります。
支出のリバランスとは、単に家計を削ることではありません。“自分のこれからに合わせて、お金の置き場所を変えていくこと”なのです。
お金・時間・仕事、それぞれのモヤモヤは、一度切り離して「支出の役割」から整理し直してみてください。そうすることで、これからの人生の輪郭が少しずつ見えてくるはずです。
CFPのポイントまとめ
- 人生後半では「節約」より「支出の再設計」が重要になる
- 「将来必要になる支出」を見える化すると不安は減りやすい
- 介護・住まい・医療などは、早めに予算化しておくと整理しやすい
- 「削る支出」より「残したい支出」を考えることが大切
- 支出を「維持」「備え」「豊かさ」にわけると判断しやすくなる
- お金・時間・仕事、3つは別々に整理することからはじめると、それぞれの輪郭が見えてくる
京極 佐和野
FPオフィスミラボ 代表
1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP®/キャリアコンサルタント
