「このままじゃマズい…」世帯手取り月43万円、50代夫婦を襲う“静かな絶望”
「このままじゃ、マズいのはわかっているんです。でも、何から手をつければいいのか……」
そう話すのは、地方都市で妻のタマコさん(仮名・53歳)と暮らしている会社員のヨウヘイさん(仮名・55歳)です。長男は就職を機に大阪で一人暮らし、次男も大学進学に伴って東京へ。現在は、夫婦二人での生活になりました。
ヨウヘイさんの年収は約700万円。タマコさんのパート収入(月8万円)を合わせると、月の手取りは世帯で約43万円になります。地方での生活費としては十分な水準のはずですが、ここ数年「余裕がある」と感じたことはほとんどないといいます。
家庭では、本来ならタマコさんが働く時間を増やして家計を助けたいと考えているものの、一人暮らしをしている義母の体調が不安定で、なかなか踏み切れない状況です。
タマコさんは「家計の足しにしたいし、外に出て働くことで自分自身の気持ちも保てると思うんです。でも、急に休むことになったら職場に迷惑をかけてしまう」と、もどかしい思いを抱えていました。
さらにヨウヘイさんを悩ませているのが、職場環境の変化です。会社ではシステムの自動化が進み、これまでヨウヘイさんが担ってきた業務の一部が不要になりました。部下の配置も見直され、自身の役割が以前より小さくなっていると感じています。
「仕事量は減っているはずなのに、気持ちはちっとも楽になりません。自分は会社に必要とされているのか、この先どう働けばいいのかわからなくて」と、ヨウヘイさんは肩を落とします。
家計の7割を占める〈減らせない支出〉の重圧
住宅ローンは月7万円で、ボーナス払いも併用しています。決して無理のない水準で組んだはずでした。しかし、同じ生活を続けているつもりでも、出ていくお金は確実に増えています。
「特に食費や日用品の負担が重く、前と同じ感覚では予算内にまったく収まらなくなってきました」とヨウヘイさんは嘆きます。
さらに家計の負担となっているのは教育費です。学費に加えて、親元を離れた次男への仕送りも続いています。
「子供の家賃や生活費を考えると、必要だと思って続けてきました。周りを見ても、同じくらい仕送りしている家庭が多くて」
毎月10万円の仕送りが、じわじわと家計を圧迫しています。「あと3年は続くと思うと、終わりが見えている分、かえって気が重い」とヨウヘイさんはため息をつきました。
生活費も含めると、家計の7割以上が「すぐには動かせない支出」で占められています。本来はやりくりで調整できるはずの支出も、実際にはそう簡単には減らせません。
「夫婦のおこづかいを入れたら、1円も残らないね……」と、そんな会話ばかりが食卓では増えていきました。また、義母の様子を見に行く回数も増えており、介護の見通しは立ちません。住宅ローンは退職金で完済できる見込みですが、それでも将来への不安は消えないといいます。
「老後資金も足りない気がするし、何が起きるかわからない。今の貯蓄額では正直、不安です」
親の介護、子供の教育費、住宅ローン、そして自分たちの老後資金。4つの不安が重なり、判断の余裕が奪われていました。
「同じ生活をしているつもりでも、支出だけが増えていく感覚でした。気づけば、何も変えないまま1年、また1年と過ぎていく気がして……とにかく怖いんです」
