専門家の視点|老後資金と留年問題、親が意識したいこと
今回のケースにおける最大の誤算は、「終わるはずだった教育費」が長引き、本来なら老後資金を貯めるべき貴重な時期を直撃してしまったことです。
本来、子どもが順調に卒業していれば、50代後半は学費負担から解放され、老後資金を本格的に準備できる「貯め期」になるはずでした。しかし、まさかの2回にわたる留年によって仕送りと学費がずるずると継続。その結果、老後の準備期間と資金が大きく削り取られる形になってしまったのです。
こうしたケースで特に注意したいのは、「もう少し支えれば状況が良くなるはず」という期待から、支援が際限なく延長されてしまうことです。
留年そのものが、絶対的に悪いわけではありません。病気や進路変更、学業への再挑戦など、さまざまな事情があるでしょう。ただ、今回のように生活習慣の乱れや本人の自立不足が背景にある場合は、親の支援のあり方を見直す必要があります。
こうした事態を避けるためには、大学進学の段階から「支援のルール」を家族で共有しておくことが重要です。
例えば、「仕送り額の上限を決める」「留年時の支援条件を事前に話し合う」「アルバイトや奨学金利用も含めて負担を分担する」「親の老後資金には手を付けないラインを決める」といったルールです。
教育費は「子どものためのお金」と考えがちですが、親の老後資金も同じように生活を守るための大切なお金です。支援を続けた結果、親自身が老後に困窮してしまえば、将来的には子ども側が親を支える問題へと形を変えて戻ってくる可能性もあります。
子どもを大切に思うからこそ、「どこまで支えるか」を決めることも親の役割のひとつだといえるでしょう。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP®
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