《大相撲夏場所》小結・若隆景、25場所ぶり2度目の優勝…懸賞本数3,563本は過去最多、企業収益の好調ぶりを裏付け【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】

景気の予告信号灯としての身近なデータ(2026年5月24日)

《大相撲夏場所》小結・若隆景、25場所ぶり2度目の優勝…懸賞本数3,563本は過去最多、企業収益の好調ぶりを裏付け【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】
(※画像はイメージです/PIXTA)

身近なデータの中には、今後の景気を推察するさまざまなヒントが隠れています。本稿では、企業業績と相撲の関係、そこから読み解ける景気局面についてエコノミストの宅森昭吉氏が解説します。

1差に7人ひしめいて優勝の可能性を残し…11年ぶりの事態

夏場所は、14日目終了時で優勝の可能性がある力士が7人と11年ぶりの混戦。千秋楽の結果は大関・霧島を優勝決定戦で破った、小結・若隆景が史上3番目のブランク優勝。

 

令和8年(2026年)大相撲夏場所で、優勝決定戦を制し12勝3敗で優勝したのは東小結・若隆景でした。25場所ぶり2度目の優勝です。若隆景は、新関脇だった令和4年(2022年)春場所で初優勝。しかし、令和5年春場所で右膝の大けがを負い、3場所連続全休の末、幕下から出直して幕内に戻ってきていました。25場所ぶり(4年2ヵ月ぶり)の優勝は、琴錦の43場所ぶり(7年2ヵ月)、照ノ富士の30場所ぶり(5年2ヵ月、令和2年夏場所はコロナにより中止)に次ぐ長期ブランク優勝となりました。幕内優勝した力士が、一度幕下まで落ちた後、再び幕内優勝したのは、元横綱・照ノ富士以来2人目です。若隆景にとって怪我を乗り越えての優勝で、今場所が大関昇進に向けての起点の成績になりました。

 

今場所は多くの上位力士がケガで休場するという異例の場所になりました。場所前には、西横綱・大の里と西大関・安青錦が休場を発表しました。2日目から東横綱・豊昇龍が、さらに12日目からは東大関・琴櫻まで休場に追い込まれました。結局、2横綱3大関のうち、霧島以外が休場する異常事態になりました。大関の安青錦と琴櫻にとって、次の名古屋場所は試練の場所となります。安青錦は2場所連続で負け越しとなるため大関陥落、関脇で10勝以上しての大関復帰に挑むことになります。琴櫻はカド番となるため、負け越しは許されない状況です。三役力士の中では西小結・高安も4日目から休場になり、平幕では、西前頭7枚目・朝紅龍が7日目から、東前頭10枚目・朝乃山が12日目から休場しました。

 

夏場所14日目、ただ1人2敗だった霧島が西前頭10枚目・伯乃富士に寄り倒されて3敗目を喫しました。千秋楽に優勝の可能性を残したのは同じ3敗の東小結・若隆景と4敗の西関脇・琴栄峰、東前頭2枚目・義ノ富士、霧島に勝った伯乃富士、東前頭11枚目・宇良、幕尻の東前頭17枚目・藤凌駕の7人。稀にみる大混戦となりました。優勝争いトップの11勝3敗で並んでいた霧島と若隆景が千秋楽の本割でともに勝利し、2人による優勝決定戦で若隆景が本割で敗れていた霧島を押し出しで破りました。

 

1差に7人がひしめいて優勝の可能性を残したのは、8人が1差に含まれた平成27年(2015年)夏場所以来11年ぶりでした。平成27年夏場所を振り返ると、14日目を終わって3敗が東横綱・白鵬、東関脇・照ノ富士の2人、4敗が西横綱・日馬富士、東大関・稀勢の里、東前頭8枚目・髙安、東前頭10枚目・勢、東前頭11枚目・魁聖、東前頭14枚目・嘉風の6人が優勝の可能性を残していました。照ノ富士が西前頭6枚目・碧山を破り、白鵬が日馬富士との横綱同士の結びの一番で敗れたため、照ノ富士の初優勝が決まりました。照ノ富士はこの優勝で大関昇進を決めました。

 

(出所)各種資料
[図表1]長期ブランクの幕内優勝 (出所)各種資料

夏場所の懸賞事前申込本数は4,241本! 4,000本突破は初めて

夏場所の懸賞本数が3,563本で26年初場所3,355本を208本上回り過去最高を更新。17場所連続前年同場所比増加で、企業の広告費、収益の好調さを裏付け。

 

夏場所の懸賞本数は3,563本で、過去最多は26年初場所の3,355本を208本上回り初めて3,500本を超えました。25年夏場所の2,849本を上回り、前年同場所比は+25.1%の2ケタの伸び率で17場所連続増加になりました。企業の広告費、収益の好調さを裏付ける数字と言えるでしょう。

 

(出所)日本相撲協会、各種報道
[図表2]最近の大相撲本場所懸賞本数推移 (出所)日本相撲協会、各種報道

 

※過去最高(赤色)、令和8年夏場所は3,563本で史上最高更新。
※地方場所最高(オレンジ色)令和8年春場所で2,481本と地方場所最高更新。

 

夏場所の懸賞事前申込本数は4,241本、前年比+45.4%で、過去最高だった26年初場所の3,469本を772本上回っていました。4,000本突破は初めてでした。力士指定本数は、個人別の懸賞本数では、横綱・大の里が408本でトップ、大関・安青錦が245本、横綱・豊昇龍が222本、関脇・熱海富士が189本、平幕・宇良が163本となっていました。但し、残念ながら事前申し込みが多かった上位3力士が休場になってしまいました。結果、実績3,563本は事前申込本数4,241本より678本少なくなりました。

 

夏場所では、11日目に過去最多の314本懸りました。にしたんクリニックなどを運営するエクスコムグローバルが幕内全19取組に5本ずつ懸賞を懸けました。千秋楽は287本、初日276本、14日目264本と、歴代で上位4番目までを一気に更新しました。これまでの1日に懸かった本数では26年初場所千秋楽の258本が過去最高だったので、56本更新したことになります。

 

(出所)日本相撲協会、各種報道
[図表3]最近の大相撲本場所懸賞本数推移 (出所)日本相撲協会、各種報道

※令和7年名古屋場所、事前申し込み2,391本、実績2,196本。令和8年春場所、事前申し込み2,724本、実績2,481本、ともに地方場所最高更新。
※令和8年初場所、事前申込3,469本、実績3,355本で過去最高。令和8年夏場所、事前申込4,241本、実績3,563本で過去最高。

 

夏場所で一番多く懸賞を獲得したのは、大関・霧島の508本でした。第2位は関脇・熱海富士の353本で、第3位は優勝した小結・若隆景の217本でした。

 

横綱・大関が4人休場したこともあって、夏場所13日目結びの霧島vs若隆景の取組と千秋楽結び前の熱海富士vs欧勝馬の取組は各々58本懸賞が懸かりました。千秋楽結びの霧島vs宇良の取組で勝った霧島が手にした懸賞本数は51本にとどまりました。

 

(出所)日刊スポーツ
[図表4]大相撲夏場所懸賞獲得ベスト5 (出所)日刊スポーツ

 

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。

 

 

宅森 昭吉(景気探検家・エコノミスト)

三井銀行で東京支店勤務後エコノミスト業務。さくら証券発足時にチーフエコノミスト。さくら投信投資顧問、三井住友アセットマネジメント、三井住友DSアセットマネジメントでもチーフエコノミスト。23年4月からフリー。景気探検家として活動。現在、ESPフォーキャスト調査委員会委員等。

 

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