社会の認識が変わると、世界の姿は一変する
「世界は事実ではなく認識でできている」という考え方は、主に個人の視点からとらえてしまいがちです。しかし、認識の力は、個人の感情や思考だけに作用するものではありません。
社会全体の認識が変わると、文化が変わり、流行が変わり、人々の価値観や行動そのものが一変していきます。
そのもっとも分かりやすい例の一つが、韓国カルチャーをめぐる日本社会の認識転換です。
かつて日本において、韓国は身近な隣国でありながら、文化的にはそれほど注目されてはいませんでした。しかし現在、特に若い世代にとって、韓国は「最も洗練され、最も勢いあるカルチャーの発信地」として認識されています。ファッション、メイク、音楽、ドラマ、食文化・・・・・・。日常の隅々にまで韓国の影響が息づき、特に今の若い人たちにとっては「韓国っぽい生き方」さえ一つのロールモデルとなっているといえます。
多くのメディアや研究が指摘するように、韓国のエンターテインメントは、音楽・映像・デジタル戦略・トレーニングシステムを総合的に進化させ、世界標準のレベルへと国家を挙げて育ててきた経緯があります。BTSやBLACKPINKといったミュージシャンの世界的成功はその象徴ですが、彼ら彼女らの存在をきっかけに日本では韓国発の文化が広く受け入れられるようになっています。
この社会的な認識転換が起こるとどうなるか――。それは、ファッションが変わり、食文化が変わり、街の景色まで変化したといっても過言ではないと思います。
韓国ブランドのコスメが日常の定番となり、カフェでは韓国で話題のメニューが追加され、街中では韓国アイドルの髪型を模した若者が増えています。若い世代にとって韓国は、遠い文化ではなく、「自分が目指す理想の姿」になったのです。
つまり、認識の変化が価値の変化を生み、消費行動までを動かしたのです。マーケティングの視点で考えれば、これは極めて重要な示唆を与えてくれます。市場が動いた理由は、「個々の商品のスペック」だけではなく、韓国に対する日本人の見方が変わったからこそ価値が連鎖的に高まっていったのです。
そしてこうした変化は、私たちの日常でもまったく同じように日々起こっています。社会全体で起きた認識転換の力を個人が日々の生活に応用すれば、小さな出来事の見え方が変わり、自分の選択や行動に新しい可能性が生まれていきます。韓国カルチャーの例は、そのことを社会規模で証明した象徴的な出来事だと筆者は考えています。

